白砂に残る太古の足跡から人類最古の狩りの様子が判明…獲物は巨大ナマケモノ

アメリカ、ニューメキシコ州のホワイトサンズ国定記念物で発見された1万1000年前の化石に残っていたのは、人間と巨大ナマケモノとの戦いの記録だった。これは人間の狩りの最古の記録となる。

 

白砂に残る太古の足跡

見つかった足跡は、全長3m近くになる絶滅した巨大な地上性ナマケモノと、これを狩ろうとした人間たちの足跡だ。このナマケモノの種類は詳しく特定されてはいないものの、Seekerに語る研究者たちによると、このナマケモノは動きこそ素早くないが力は強かったとのこと。もしかしたら仁王立ちして鋭い爪のついた長い腕を使ってハンターたちを遠ざけようとしたり、もしかしたらハンターたちに致命傷を与えることもできたかもしれない。

このハンターたちは、クローヴィス文化と呼ばれる北米の石器文化を持つ先住民ではないかと推測されている。もしそうであればこのハンターたちは長い槍を手にナマケモノたちと戦ったのだろう。

その狩りの場所となったのは水の干上がりかけた湖床。そこには2~3匹の巨大ナマケモノがおり、その後を付けるようにして人間たちが歩いていた。ナマケモノたちはまっすぐもしくは曲線を歩くようにして歩いていたのだが、人間たちが近づくにつれて急にその進行方向を変えている。ある一連の足跡では、一人の人間がナマケモノの後をつま先立ちで近づき、もう一人の人間がその後を追っている。このほかにも人間の集団が、ナマケモノが湖床内に留まり、干潟に近づけないようにするかのように集まっていたのが見受けられた。これはその方がナマケモノを狩りやすかったからだと推測されている。

 

狩りの様子

Credit: Ballista, CC BY-SA 3.0

研究者たちは足跡の様子から狩りの状況を推測している。

一人のハンターがナマケモノを追い、ちょっかいを出して振り向かせる。ナマケモノは後ろ足で立ち前足を振り回す。ナマケモノの注意がこちらのハンターに向いている隙に、もうひとりのハンターがナマケモノに近づき、一撃を加える。運が良ければこれで仕留めることができるか、出血により殺すことができる。遠くからその他の人々が見守るのは、必要に応じて獲物の遺体を処理するためかもしれない。

残念ながらナマケモノの遺体はここには残っていない。ナマケモノの筋肉は密なので直接殺すのも難しいし、そもそも現代狩猟採集社会で行われる狩りが成功する確率は非常に低く、例えばハッツァ族(Hadza)の場合失敗率は94%だとされ、この足跡に残る狩りも失敗の可能性があるとしている。それにもしも成功していたとしても、上手く仕留めてここに遺体を残していてもこの場所の環境では骨もすぐに分解されてしまうので残っていなくて当然だろう。そんな中でも今までこれらの足跡が残っていたのは、この場所が水の干上がった湖床であり、泥炭や堆積物が後に水と反応したためとされる。

なお時代測定は未だ完全ではなく、これが1万1000年前よりも以前のものである可能性も残るという。地上性の巨大なナマケモノたちは4種存在したものの、どれも約1万年前には絶滅している。今回の発見は、このような巨大な哺乳類たちの絶滅と、人類の狩りとの関連性を明らかにする上でも重要な発見だ。研究はScience Advancesにて4月25日に発表されている。