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ボタンひとつで好みの食べ物を作り出す食べ物プリンター、韓国の研究者が開発

ボタンを押すだけで、好みの原材料から願いどおりのかたちと食感と栄養価が揃った食材を作り出してくれる夢のようなマシン――といったらにわかに信じがたいだろうか。

じつはこれ、すでに実用化に向けて研究開発が進んでいるそうだ。正確にいえばマシンだけではなく、3Dプリンティング技術を取り入れたソフトとハードを含む総合的なプラットフォームを開発しているのは、韓国の梨花女子大学の李(Jin-Kyu Rhee)助教授。今月アメリカのサンディエゴで開催された2018年度のExperimental Biology学会にて研究概要を発表したばかりだ。

3Dプリンターは普通のプリンターのように原材料を薄く延ばして印刷するが、それを何層も重ねて高さを出すことであらかじめプログラムされているとおりに3次元のかたちを作り上げていく。李助教授はこの原理を食べ物の製造にそのまま転用し、食材を細かく砕いた粉を薄いフィルムに加工して何層にも重ねることで立体的な食べ物を作り出した。本物の食品をミクロレベルで精巧に再現することで、味も食感も本物にかぎりなく近い「印刷物」を作り上げることに成功したそうだ。

Credit: Jin-Kyu Rhee, Ewha Womans University

A: 炭水化物・タンパク質ベースの食材を-100℃に近い極低温まで冷やした状態で粉砕し、微粒子にする。
B: 水分調整を行いながら加熱し、微粒子を多孔質の薄いフィルムに加工する。さらに、この薄いフィルムが幾層にも重ねることで3次元のブロック型の食品に加工する。
C: 食材の表面や内部のミクロ組織を自在にデザインすることで、食事や消化に最適なやわらかさやテクスチャーを作り出せる。

 

まだ研究は初期段階だそうだが、いずれこの「食べ物プリンター」が実用化されれば、個人の好みや食事制限に合った食べ物を家庭で製造できるようになる。例えばパスタを作るのにも、好みの小麦粉を選ぶところから始まり、パスタの形状・やわらかさ・消化のしやすさ、カロリーなどをすべてカスタマイズできる。

医療食の開発に役立つほか、慢性的な飢餓に苦しむ人々にとって救いになるかもしれない。食品の製造過程から無駄を省き、消費期限を延ばすうえに、食品の輸送コストもかなり抑えられるのではないだろうか。

3Dプリンティング技術を使って食べ物を作り出す発想は今回が初めてではない。2017年6月には、アメリカのMITの研究者たちがが水を加えるとムクムクと変形するパスタを開発。こちらもまだ実用化されていないようだが、いずれも食品に対する固定観念を打ち破る斬新な発想だ。おいしいかどうかは、また別問題だが。

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