Credit : Alice Laciny/ZooKeys

家族のため、社会のため…「自爆」するアリの姿

多くの虫は様々な攻撃手段を持っている。天敵から身を守るため、強力なキバや毒針を持つものもいれば、数で相手を圧倒するような虫も多く存在する。

しかし、中にはもっと変わった方法で攻撃を行う虫がいる。そのアリは、なんと自ら体を爆発、つまり「自爆」し、弾け出す黄色い毒の体液を天敵に浴びせるというのだ。もちろん、「自爆」したアリは死ぬため、その攻撃は自分たちの巣(コロニー)を守るために行われる。

このアリはColobopsis cylindricaと呼ばれ、別名「爆発アリ」と呼ばれる種類の新種だ。科学ジャーナルサイトZooKeysで発表された論文によると、このアリは東南アジアのジャングルに生息し、論文の筆者であるウィーン大学のAlice Laciny氏によってColobopsis explodensという名前が付けられるまで、Yellow Goo(黄色いベトベト)という名で呼ばれていたという。Laciny氏によれば、新たな爆発アリが見つかるのは1935年以来ということだ。

赤みのかかった茶色いその姿は、どこにでもいそうな普通のアリだが、体内には毒の液体が入った袋が収められている。「自爆」というものの、人間が想像するような壮絶な行為ではないとLaciny氏は述べており、このアリは敵が自分たちのコロニーに侵入しようとするとまず噛み付き、その後自らの皮膚の一部を開き、中の粘液を敵に浴びせる。この「カレーのようにスパイシーな匂いがする」という液体が、侵入者を死に至らしめるか、または侵入行為を妨害するのに役立つという。侵入者がこの攻撃に耐えた場合、アリの巣の門番の役割を担うアリが巣の前に壁を作り、第二の防衛線を張るということだ。

爆発アリの存在は100年以上前から研究者たちによって知られていたものの、その詳細は解明されてこなかった。しかし2014年にはオーストリア、タイ、ブルネイの研究者たちにより研究が行われ、現在では少なくとも15種類存在していることがわかっているという。

Laciny氏によれば、敵による攻撃時にのみ「自爆」し、自ら攻撃しに行くようなことはないとのこと。また、「自爆」するのは生殖能力を持たない働きアリのみで、自らの死がコロニー全体を助けることとなり、結果、コロニー全体の生存率を高めることに繋がっているのだという。

家族のため、社会のため、自ら命を絶つ。そんな我々からすれば「壮絶」と言わざるを得ない行動をする虫が、地球上には存在するのだ。

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