Credit : Credit: Sea War Museum Jutland

ヒトラー南米生存説のもとになったUボート、73年の時を超え海中で発見される

長い間行方知らずとなっていたナチス・ドイツのUボート、U-3523がデンマーク海戦博物館により今月発見された。デンマーク、ユトランド半島とスカンジナビア半島の間のスカゲラク海峡に沈没していたこの潜水艦にはどんな秘密が眠っているのだろうか?

 

UボートXXI型

第二次世界大戦に登場したドイツのUボートの中でも、優れた性能を持った設計ながらほとんど活躍しなかったUボートXXI型。XXI型は長時間の潜水航行が可能な初めての潜水艦であり、更に止まることなく南アメリカまで行くことができるというものであった。この潜水艦が戦争の早い時期に作られていれば戦況はまた変わっていたかもしれないが、XXI型は118隻建造されたものの実際に運用されたのはたったの2隻。戦場には一隻も赴くことはなかった。

 

U-3523の最後

Credit: Sea War Museum Jutland

そんなXXI型Uボートの一台であるU-3523が発見されたのはスカゲラク海峡の海底123m。発見したのはデンマークの海戦博物館だ。ほとんどの部分は海底に埋まっているのだが、船尾は海底から20m突き出たようになっている。

The Sunの取材に応える同博物館館長のゲルト・ノルマン・アンデルセンによれば、U-3523から最後に発信された電報は1945年5月5日のもの。そこには特別な積み荷や高官が乗っているというようなことは記されてはいない。

その電報の次の日、U-3523は1945年5月6日にイギリスのB-24リベレーターの爆雷により撃沈され、スカゲラグ海峡の海底にその体を埋めた。興味深いのは、デンマーク、ドイツ北部、そしてオランダのドイツ軍が降伏したのがその翌日の5月7日だということである。もしかしたら戦いが終わることを知り、この潜水艦は逃走のために航行していた可能性があるのだ。

館長はもしかするとU-3523にはドイツ軍にとって重要なものが入っていたのでは、という噂があるとしている。しかし海底123mに沈んでいることからも、U-3523へのアクセスは難しい。実際に乗員58名の他に何が、誰が乗っていたのか確認するのは時間がかかりそうだ。

 

ヒトラーは潜水艦で逃げたか?

CIAの報告書に掲載されたヒトラーとSS隊員とされる人物の写真- Credi: CIA

今月になってようやく発見されたU-3523だが、南アメリカまで航行可能な性能、そして今回の発見まで実に73年間も見つからなかったU-3523は、ある噂の火種となった。それはヒトラーやナチ高官らが実はアルゼンチンに逃亡したという噂だ。

実際にCIAは1955年の報告書で、ヒトラーと親衛隊SS隊員のフィリップ・シトロエン(Phillip Citroen)なる人物のものとされるコロンビアで1954年に撮影された写真とその経緯を記している。この報告書は2017年に機密解除されたものが注目を浴びたことも記憶に新しい。また、FBIも1945年の報告書の中で、ベルリン陥落の2週間半後にヒトラーらが潜水艦でアルゼンチンに到着したのを目撃したという詳細な証言を記している。

しかしながら今回の発見で、少なくともU-3523は撃沈されていたことが判明したことによって、これらヒトラーらの南米逃走生存説も現実味が低くなったのではないだろうか。さらに言えば、このU-3523は南米ではなくノルウェーに向かっていたので、ナチ高官が南米に逃れようと乗っていたわけでも無さそうだ。

何はともあれ降伏の前日に逃走しようとしていたこの潜水艦にどんな秘密が眠っているのか、更なる調査が待ち望まれるところだ。

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