ボタン一つで自殺できる機械をドクター・デスが開発、世界で物議を醸す

「ドクター・デス」の名で知られる安楽死推進派の医師が考え出した、ボタン一つで死ぬことができるカプセル型装置が今、物議を醸している。

ドクター・デス

「ドクター・デス」や「自殺幇助界のイーロン・マスク」などの異名を持つドクター、フィリップ・ニチュケ(philip nitschke)は、安楽死推進派。インデペンデント紙に語るニチュケは「死はどこか奥の部屋で隠れてするものであるべきではなく、スタイリッシュでエレガントであるべきだ」と言う。彼は安楽死の合法化に向けて活動するNPO、Exit Internationalなどを設立し、理事長を務める。

サルコ

そんな彼とExit Internationalが生み出したのは、自らの死をボタン一つで選択することのできる機械、サルコ(Sarco)だ。名前はエジプトの石棺「サルコファガス」から来ており、その語源はギリシャ語で「肉を食べるもの」という意味だ。これは3Dプリンターにより出力し組み立てることが可能で、デザインは無料でネット公開されるという。

この装置は、中に入るものが死を選択すると窒素で充満される。窒素による窒息は、それ以外の窒息方法とは違い苦しみが少なく、軽いめまいを感じた後急速に意識を失い死ぬという。News.com.auにニチュケが語るところによれば、この機会は規制されている薬剤を使わないことや静脈注射を必要としないこともポイントのようだ。

搭乗者が窒息死してから、カプセル部分はそのまま「石棺」ならぬ3Dプリントされた生分解性棺桶として機能し、そのまま地中に埋めることができる。なおベース部分は何度も使うことができる設計だ。

サルコの生まれたきっかけ

病気や障害により耐えがたい苦痛に死を選択したい人の中には、安楽死を自ら開始するためのボタンを押すことができないものも多いという。インデペンデントの記事によれば、ニチュケがサルコの発案に至ったのも、2005年に閉じ込め症候群で目の動きと瞬きでしかコミュニケーションがとれない状態の人物と関わったからだという。

幇助されての自殺がイギリスの法律で禁じられていたため、この人物は自ら食事と水分を拒否し4ヶ月後に死亡したという。ニチュケは、サルコのような装置があれば、この人物も(瞬きなどで反応するスイッチにする必要はあるだろうが)装置の中にさえ入ってしまえば自ら安楽死を選択できただろうとしている。

サルコの将来

サルコのVR体験の様子- Credit: Philip Nitschke via Facebook

しかしニチュケは同時に死の選択は重い病を抱えた人にのみ与えられた特権ではないともワシントンポストに語っているほか、安楽死と法的障害については「多くの国では自殺は法律に反していないが、自殺を幇助することは反している。これは電車の前に立ちはだかるか、一人でボタンを押すか、という状況なのだ」としている。

ニチュケによれば、サルコが「ただの美化されたガス室だ」などのコメントもされたことがあるなどとし、ヨーロッパではホロコーストの過去があるためにガスによる死は受け入れられないかもしれないとのことだが、果たして世界の他の地域でどう受け入れられるだろうか?

サルコは4月14日からオランダアムステルダムで開催されている葬儀見本市で展示されており、展示ではVRで実際に使用する様子を疑似体験できる。しかしサルコは未だ完成しているわけではなく、完全に機能するものは年内にオランダで作られた後により安楽死関連法が厳しくないスイスに発送されるという。