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GPSにも勝る驚異的なナビゲーション能力…アカウミガメの地磁気インプリンティング

アカウミガメは生まれた浜辺から何千キロも旅して、やがて何十年も経ってから元の浜辺にちゃんと戻ってこられる。

このGPSのような驚異的な能力の正体は「地磁気インプリンティング」地球の磁気を利用し地磁気の強度と傾斜角度を頼りに迷うことなく産卵場所回帰する能力だ

赤ちゃんガメにはうまれながらにして生まれた場所地磁気情報がインプリンティング(刷り込み)されており、その情報を頼りに迷うことなく戻ってこられると考えられているアカウミガメのみならず大西洋サケや鳥にも同様の能力がみられるといい2008年に初めてノースカロライナ大学チャペルヒル校の生物学者、ケネス・ローマン教授が提唱した。

さらにローマン教授最新の追跡調査800匹以上のアカウミガメの遺伝子情報を元に地磁気インプリンティングを証明している

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学術誌『Current Biology』に掲載された研究論文によれば同じ地磁気情報がインプリンティングされたアカウミガメは遺伝子型も似ているとわかった。言い換えれば、似た遺伝子型を持つアカウミガメ、例えば同じ母ガメから生まれた兄弟同士は共通の生まれ故郷に帰ってくるとわかったのだこれは間接的に地磁気インプリンティングを証明したといえる。

通常同じ種のなかで似た遺伝子型も持つ生物同士は、地理的に近い地域棲息しているという。しかしアカウミガメに至っては距離の近さではなく地磁気情報の近さが決め手だとわかった。地磁気情報が似ているからとって地理的に近いとは限らない。実際、地磁気情報が似ていたために生まれ故郷から離れた浜辺にたどり着くアカウミガメも確認されているそうだ。

Credit: dkatana / Pixabay- アカウミガメ「あれー、ここらへんだったはずなんだけど…」

アカウミガメの子ガメの生涯を追ってトラッキングすれば地磁気インプリンティングを証明できるのだが、なにせアカウミガメは繁殖可能な成体になるまで20年かかり、しかも子ガメの生存率はたったの1,000分の1研究するには確率的にも時間的にも無理があった

国際自然保護連合(IUCN)が絶滅危惧IIに定めており、絶滅の危機が増大しているアカウミガメ。地磁気インプリンティング今後、アカウミガメの保護活動にも影響していきそうだ直近はアカウミガメの地磁気インプリンティングを狂わせないために、産卵地の磁場を乱さない取り組みだろう。むやみな建設や電線は磁場を狂わし、アカウミガメを混乱させる恐れがある。

何十年もの時を経て生まれ故郷にたどり着いたアカウミガメを迎え巨大なビーチリゾートだったら……。カメを浦島太郎にさせないために、人間の配慮が不可欠だ。

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