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生後6か月の赤ちゃんはうれしい気持ちをちゃんと理解している

赤ちゃんは生後6か月までに喜怒哀楽のうち「喜」の感情を理解できるようになるそうだ。

ジュネーヴ大学内のベビー・ラボで行われた研究では、生後6か月の赤ちゃんを対象に別々に提示された「喜」を表す声と「喜」を表す顔とを結びつけられるか調査した。その結果、赤ちゃんたちは見事うれしい声と顔とをリンクできることがわかった。そもそも「喜」という感情自体を理解していないとその感情に伴う声と表情を結びつけるのは不可能なため、赤ちゃんはうれしい気持ちを生後6か月までに内在化させているという結論に至ったそうだ。

この研究結果は心理学教授エデュアード・ゲンタズ氏ほか2名がPLOS ONEに発表した。ちなみに、生後6か月の赤ちゃんにはまだ「怒」の感情はピンとこなかったようだ。

生後6か月というとやっとおすわりができるようになったぐらいのまだ言葉もしゃべらない赤ちゃん。その赤ちゃんたちが「うれしい」という気持ちを理解しているかどうか、どのように見極めたのか。

maya Palama et al. / PLOS ONE

実験では24人の生後6か月の赤ちゃんに「喜」の感情を表している声、「怒」の感情を表している声、そしてどちらともつかないニュートラルな声を聞いてもらい、その直後に上記のような画像ペアを見せた。片方は「喜」、もう片方は「怒」の感情を表している女の人の画像で、ラボの特殊装置により赤ちゃんが画像のどのあたりをどのぐらい長く見つめていたかをトラッキングできる仕組みになっていた。

「怒」の声とニュートラルな声を聞いた赤ちゃんは、「喜」と「怒」の顔写真を同じぐらい見ていた。したがってどちらも優先的に選択されていなかったことになる。ところが「喜」の声を聞いた赤ちゃんたちは、より「怒」のほうを長く見たという結果になった。特に大きく歪んで開かれた口元に赤ちゃんの視線が集中したそうだ。

これがこの実験の人間味あふれるところ。単に「喜」の声→「喜」の顔、という結びつけではなかった。むしろ「喜」の声を聞いた赤ちゃんたちは、その声に似つかわしくない「怒」の声をいぶかしんで見つめていたというのだ。

Amaya Palama et al. / PLOS ONE

赤ちゃんの視線はより興味深いものにそそがれます」と研究チームの一人、アマヤ・パラマ氏はSeekerに説明している。「赤ちゃんは目新しいものが好きなのです。したがって、見たことがないものをより多く見る傾向にあります。」

この研究の意義についてパラマ氏はさらにこう述べている。「子育てに関していえば、親は赤ちゃんの感情に目を向けてあげるだけでなく、自分の感情をより素直に表現することが大切なのではないでしょうか。たとえそれが怒りのようにマイナスな感情だったとしても、ありのままを見せてあげて、その感情がどうして起こったかを説明してあげることが大事です。遅かれ早かれ、子どもたちはマイナスな感情にも触れる日がきます。肝心なのは、その時にちゃんと事情や背景もわかるように説明してあげることで、子どもたちが自主的に受容できるようになることです。」

もちろん、プラスな感情をたくさん見せてあげることに越したことはないとも述べている。

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まだまだ解明の余地がある人の感情の成り立ちとその習得。将来的により人間らしいAIを形作るいく上でも、貴重な研究だ。

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