Credit : Vincent Francigny / Sedeinga archaeological mission via CNRS, cropped

スーダン死者の街の碑文…記された言葉が明かす古代文明の謎

スーダンのセデインガにある「死者の街」ネクロポリス。巨大な埋葬地であるこの場所で多数の碑文が発掘された。遺跡にはアフリカ最古の書記言語が記されており、それを読み解くことで失われたメロエ文明について徐々に明らかになってきた。

セデインガの死者の街
このあたりには古代エジプトのファラオ、アメンホテプ3世の正妃でありティイ女王の神殿があることで知られる。この地域はまた古代はヌビアという名称で知られており、金が豊富に存在したほか、初期のアフリカの王国を生み出したり、エジプトを治めたファラオもこの地出身の者がいたという。そんなセデインガの死者の街に25ヘクタールにも渡り、少なくとも80のレンガのピラミッド、そして紀元前7世紀から紀元後4世紀に存在したナパタ王国やメロエ王国による100以上の墓が見つかっている。

この場所での発掘は2009年より行われてきた。今回の発見は昨年末に行われた発掘作業の成果であり、フランス国立科学研究センターCNRSで今年3月5日に発表されている。

失われた言語の碑文
ナパタとメロエ王国時代の遺構から今回発見されたのは、数多くの碑文。それらはメロエ語で記されているのだが、この言語はすでに存在せず、その解読も完全ではない。メロエ語の表記言語は古代エジプトの象形文字に影響を受けた、サハラ砂漠より南のサブサハラ地域の最古の表記言語だ。この言語は葬儀にまつわる文章はほぼ完全に解読されているものの、それ以外のテキストは未だあまり解読されていない。そんな中ではどんな発見もとても更なる言語の解読にとってとても重要な意味を持つ。

今回発見されたものもやはり葬儀にまつわるテキストが主だったようだ。そこには、死者の名前とその両親の名前、時にはその職業や王国行政におけるキャリア、権威ある肩書きを持つ親戚などが記されていた。そういった文章からは、新たな場所を発見したり、宗教や行政構造を理解することができるのだ。

女性が偉業を受け継ぐメロエ文明

Vincent Francigny / Sedeinga archaeological mission via CNRS, cropped

そんな碑文のなかにはセデインガの上流階級の女性とその名誉ある家族をたたえたものも発見されている。この文明では、家族親戚の偉業を受け継ぐのは女性であり、それが残っているのだ。今回見つかったものには、兄弟姉妹からは大神官となったものが二人おり、自らの息子は大都市の知事を持つ「Maliwarase」という女性のもの、そしてメロエを支配した皇室の王子の家系である女性であることが四行に渡って記された「Adatalabe」という女性のものが見つかっている。

発見されたものの中には古代エジプトの秩序、平等、平和を司る女神マアトの神殿美術なども含まれる。マアトがアフリカ人の特徴を備えて描写されている遺物は今回見つかったものが初めてだ。そのほかにも墓の中には様々な輸入されたとされる品々や装飾の施された砂岩も見つかっており、これらのことから研究者たちは、この地が商業にとって重要な道路の要所に位置していたと考えている。ここを通ることで、ナイル川の蛇行や滝となっている箇所を通らず、砂漠の道を通り真っ直ぐにエジプトに向かえたのだ。そのためこの町は発展し豊かになったと研究者たちは考えている。

Nubian Stone Tablets Unearthed in African ‘City of the Dead'(LiveScience)

Ancient Nubia (present-day Sudan) : In the footsteps of the Napata and Meroe kingdoms(CNRS)

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