ちょっとできる頃が一番危険…自信過剰になるしくみ

実際には知識も技術も足りていないのに、凄く自信を持っている。どんな物事に関しても、誰しもがそんな時期を経験しているはずだ。そんな自信過剰になる仕組みは、少ない経験しかないのに全てを知った気になってしまうからのようだ。

全米カレッジ・大学協会出資の調査によれば、カレッジの学生において64%は十分にチームで働く準備ができている、66%は十分なクリティカルシンキングのスキルを持っている、65%が書面でのコミュニケーションに堪能であると回答している。それとは対称的に、カレッジ学生を雇用する企業側は、それらの回答が正しいと考えているのは40%以下。つまり、学生は自信満々であるのに対し、雇用側は実際のスキルが彼らの自信ほどには無いとみているのだ。

このような自信過剰はどうしておきるのだろうか?1月のJournal of Personality and Social Psychologyで発表された研究では、初心者の自信過剰がどうやって生まれるのかが調べられている。

ゾンビ実験

例えば研究対象になっているのは、「ゾンビだらけの世紀末」という誰もが経験したことの無い設定、すなわち誰もが初心者である状況で、目の潤み、膿瘍、脳の炎症、などの「患者」の身体症状から、患者が健康であるか、それとも2種のゾンビ感染症のいずれかに罹っているか判別するという「医者」の役割をするという調査。この設定で参加者たちはトライアンドエラーでどの症状がゾンビ感染によるものなのか診断していかなければならなかった。

一部の症状は、診断を下すのに重要なものとなっているが、それらは常にその診断に当てはまる患者に見られるわけではなく、他の症状は診断を難しくするためのもの。実際に正確に診断を下せるようになるには経験を多く積み膨大なデータを蓄積せねばならない。

過度な自信

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参加者は徐々に経験を積むことで診断技能を上げていくものの、自信のつきかたの方はと言えば少々違った。当初参加者は自分の診断が50%正しいと思っており、実際の診断の精度は55%。しかしたった数人の患者を診た後では自信はうなぎ登りで、実際の診断精度が60%以下であるにも関わらず、自分の診断精度が73%あると推定していたのだ。

更なる研究により、この過剰な自信は、非常に限られたデータしか持っていないにも関わらず、診断を下す方法を知っていると考えてしまうことにあると判明した。実際には個々のデータにはノイズや紛らわしいデータも含まれており、多くのデータが無い限り正確には診断できないにもかかわらず、人々は数少ないデータで十分だと考えてしまうのだ。

(少しだけ)自信喪失

この過度な自信はしかし暫くすればいくらか下がった大きく下がることは無いようだし、下降した後はまた徐々に自信も上昇している。診断の正確性はと言えば自信のように急な上昇を見せることも、下降することもなく常に緩やかに上昇していた。

もしかしたら過度な自信を得た後に、自らがその過剰な自信のせいで犯したミスに気づき多少謙虚な気持ちになるのかもしれない。なお、パイロットも駆け出しの頃は小さなアクシデントはいくらかするが、その後アクシデントの率は上昇していき、フライト時間800時間ほどでようやくアクシデント率が下降するという調査も研究では示されている。

自分に対する自信に関しても、青年期後期ごろに上昇し、以降安定、再度上昇するのは後期成人期(60代頃)になってからだと研究者たちは記している。これもまた、若いうちにある程度世界を見知り何でも知った気でいたのが、実際には自らの無知に気づき、後期成人期になって人生を一通り味わった気になるのかもしれない。

Research: Learning a Little About Something Makes Us Overconfident(Harvard Business Review)

Overconfidence among beginners: Is a little learning a dangerous thing?(APA PsycNET)