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徹底的な科学考証が生んだ映画『2001年宇宙の旅』、そのデザインの裏側

今見ても斬新な映画『2001年宇宙の旅』。小説家アーサー・C・クラークの短編『前哨』が元となり、映画監督スタンリー・キューブリックの斬新なビジョンで映画化されたこの1968年のデザインの舞台裏をPopular Scienceが紹介している。

『2001年宇宙の旅』を今見てもリアリティーを感じられるのは、その細部にまで見られる深いこだわりのおかげだろう。

未来は今

映画に登場するクレジットカードを使い地球と通話するテレビ電話は、テルスター通信放送衛星をデザインしたベル研究所のジョン・R・ピアース博士の助けを得て制作された。テレビ電話はすでに30年代から開発されていたが、こちらはそれにタイプライターもついており、まるでウェブカメラがついてスカイプができるパソコンのようだ。

人工重力空間は直径18m、重さ32トンもある空間を実際に回して撮影された。これほどまでに大規模な人工重力空間はISSには無いが、先日ドラゴン貨物宇宙船が届けた実験用の多用途重力可変プラットフォーム「MVP」はこれと同様に遠心力を使って人工的に重力を作り出すものだ。

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プロダクションデザイナーのハリー・ラングによりデザインされた『2001年宇宙の旅』に登場する宇宙服は、ヘルメット後部にメモリーユニットを備え、IBMと共に考案した腕のスイッチで情報を呼び出すことができる。なおラングはこのほかにも『ムーンレイカー』や『スターウォーズ』初代三部作にも関わっている。

ESAが昨年テストしていた将来宇宙で用いるための機器の中には、宇宙飛行士の腕に備えたスマートフォンというものがあった。2017年に発表されたボーイングのスターライナー用にデザインされた宇宙服は従来のものとくらべ、どこかしら『2001年宇宙の旅』に登場するものを想像させるデザインとなっている。

未来の宇宙船のデザイン

物語に欠かせない、人工知能HAL 9000を搭載したディスカバリー号は、木星まで行くための宇宙船だ。ロケット燃料を燃やして推進するのでは木星のような遠距離への旅に現実味がないので、当時GE社がNASAの深宇宙探査機に開発していたプラズマダイン・エンジン(plasmadyne engine)に似た、原子力推進式のものを考え出した。映画のデザインチームはこのコンセプトをGEのロケットエンジニアたちと話し合い、ディスカバリー号のデザインができあがった。

ディスカバリー号には冷凍睡眠装置もついている。この装置もNYUメディカルスクールの博士と共にデザインしたもの。コクピットの操作パネルも電子制御システムなどを製造するハネウェル社の助けなしにはできることなかった。ハネウェル社はそのために映画に関わる科学者やデザイナーたちに沢山教え込んだという。

不朽の名作

果たして『2001年宇宙の旅』後に登場した星の数ほどあるSF映画の中で、これほどまでに未来をリアリティーを持って描いた映画があっただろうか?多くのSF娯楽作品が、登場する乗り物や機能のデザインをただの空想に頼る中、こうして専門家の助けも得ながら細かいところまでデザインされてきた『2001年宇宙の旅』は、なるほど50年の時を超えてもリアリティーがあるわけだ。

ぱっと見ただの背景にしか見えない宇宙に輝く星々もまた、無造作に描かれた星々ではなく、リック天文台やパロマー天文台などから提供された実際の星々の写真なのだ。面白いのは映画を作成する時にはレインジャー計画による月の写真がまだ無かったにもかかわらず、月の表面の細部や月の砂の色や質感などを上手く予想して当てているところ。

確かにこれだけリアルに宇宙の旅を描いた作品が公開された翌年に人類が月面着陸を成し遂げても、それがねつ造だなどという陰謀論がでてしまうのもうなずけるだろう。

How Popular Science covered ‘2001: A Space Odyssey’ in 1968(Popular Science)

Centripetal Motion – 2001 A Space Odyssey(YouTube – Sblankman76)

Boeing Unveils New Spacesuit Design(YouTube – Wall Street Journal)

Stanley Kubrick | 2001 A Space Odyssey (1968) | A Look Behind The Future(YouTube – Soundtrack Specialist)

2001– A Space Odyssey (HD) — Best Scene with Hal and Dave — ‘Hal open the pod bay doors’(YouTube – Bobzeda)

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