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電子機器のごみ山は新世代の金鉱…しかも安価に済むことが判明

従来鉱業とは地下資源を掘り出すものだった。しかし電気電子機器廃棄物、いわゆる「電子ごみ」から貴金属を掘り出す「アーバン鉱業」が現在注目を集めている。新たな研究では、このアーバン鉱業で金をつくる方が従来型の鉱業よりも安上がりだと判明した。 

資源の山、電子ごみ

世界で毎年4470万トンの電子ごみが出されているとされる。2014年だけ見ても、金額にしても500億ドル、日本円にして約5.3兆円相当のリサイクル可能な素材が捨てられている。そういった電子ごみの中に眠るのは、金、銅、鉄、プラスチック、レアアースなど。限られた地球の資源を無駄に捨て行くのではなく、それらをリサイクルしようという考えが出るのは自然の成り行きだ。

しかしこれまで、従来のような鉱業と比べて、電子ごみのリサイクルからそれらの素材を取り出すのはどれだけコストの面で効率が良いかが問題視されていたのだ。4月4日にEnvironmental Science & Technologyに発表された研究ではその点が調べられた。

コストパフォーマンスの良いアーバン鉱業

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研究では、中国の電子ごみリサイクル会社8社から、電子ごみとして捨てられたテレビセットから純粋な金と銅のインゴッドを作り出すまでにかかったコストを調べ、鉱山から直接それらを取り出すコストと比較した。すると、中国政府からの補助金(TVあたり13ドル)がある状態では従来の鉱業と比較し13倍安価であった。しかも、政府からの補助金がなくとも電子ごみのリサイクルの方がまだ安く済んだのだ。

だがこれらが新たに電子機器の中に部品として使われるようになるにはまだ道のりは長いかもしれない。それは、現在すでにある鉱山から資源を調達し部品製造、というサプライチェーンを買えなくてはならないからだ。一度この流れを変えることができれば、電子機器製造会社にとっても安価に材料を手に入れることが出来るのだろうが、「壊れていないなら変えるな」(If it’s not broke, don’t fix it)という名言が暗に示すように、すでに存在して機能している流れを変更するには様々なリスクも関係し、難しいものだ。

従来型鉱業の問題点

この話題に関連して、研究で触れられていない要素としては、電子機器製造に用いられる貴金属が産出される国の中には、その産出を巡って紛争が起きていたり、貴金属資源が紛争の資金源となっている国もあると言うこと。加えて産出に関わる人々の人権や労働環境も問題であるが、そういった国々から資源を買わなくなることもまた、貴金属資源の眠る国の成長を阻害する要因となってしまうと言う二面性も持っている。

近年になって、使用する部品に紛争と関連した貴金属を使わず、素材産出者の環境にも配慮した「フェアトレード」素材を用いると同時に、リサイクル部品も多く使うことで環境にも優しい、ということを目標としたスマートフォンFairphoneなども出てきた。

それでもまだまだ大企業やユーザーの視点からは、真新しいスマートフォンやTVの中にある電子部品がリサイクルされた部品か、紛争を巻き起こす原因となっている素材なのか、などと言ったことは小さい問題なのかもしれない。少なくとも今回の研究でリサイクル貴金属のコストパフォーマンスの良さが証明されたわけだが、今後新しい電子機器を購入される際にはどんな経歴をもった部品が使われているのか、気に留めておかれるといいかもしれない。

Your old computer could be a better source of metals than a mine(Popular Science)

Urban Mining of E-Waste is Becoming More Cost-Effective Than Virgin Mining (ACS Publications)

The World Is Throwing Out Billions Of Dollars Along With Its Electronic Waste(Popular Science)

Fair Materials(Fairphone)

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