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財産を急に失うと寿命も短く…中年期のアメリカ人を対象に20年追った研究で判明

多額のお金を失うと寿命が縮む思いをする気持ちになるものだが、研究によると中年期に大きな経済的損失が起きると文字通り寿命が縮むようだ。 

財産ショック

アメリカで行われたこの研究では51歳から61歳までの8714人を対象にしている。彼らを1994年から2014年まで追跡調査し、この20年間に起きた経済的な状況の変化と死亡リスクを調べたものだ。

この経済状況の変化は、家やビジネス、個人退職口座、貯蓄や株、車などを含めた自己資本合計の変化で判断されている。その結果調査中に、自己資本合計が2年間の間に75%以上失われた財産ショック(wealth shock)になった人は2430人。財産ショックで失われた平均金額は約10万ドル、日本円にして約1066万円だ。

5535人は財産がショックを受けることなく期間が終わった。なお、財産を失ったことが寿命と関連あるかを調べるため、すでに病気にかかっている場合や、職を解雇された場合、離婚などのケースは除かれている。

高まる死亡率

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その結果判明したのは、財産ショックを経験すると、その先20年間の間に死ぬ可能性が50%高まるというということ。その要因となるのは、一つは急に財産を失ったことでストレスホルモンの値が上昇、心理バランスを失うこと、過剰なアルコールその他の摂取などによるもの。もうひとつは、アメリカの医療制度の問題であり、財産を失ったことで十分な医療を受けられなくなったことによるものだ。

後者に関してはアメリカ独自の医療事情も大きく絡んでいるが、老後の蓄えが大きく失われることが長期的な健康に悪影響を与えるということが判明したのは興味深いところだ。なおさらに興味深いことに、財産が多い人と比較すると、元々財産に乏しい人は病気などで早く死亡するという研究はこれまでに多く出ているが、今回の研究からは、大きく財産を失うことは、元々財産がない場合と同じくらい寿命に影響があるということが判明した。今回の調査でも、調査開始の時点ですでに財産が0もしくはマイナスになっている資産貧困(asset poverty)となっている人が749人存在しており、資産貧困のハザード比1.67と比較して、財産ショックによるハザード比は1.50と僅かに少ないのみとなったのだ。

なお研究ではより深くこれを理解し、その理由を知るには更なる研究が必要だとしている。研究は4月3日のJournal of the American Medical Associationに発表されている。

Midlife ‘wealth shock’ may lead to death, study suggests(NBC News)

Sudden loss of wealth raises risk of earlier death, study shows(Financial Times)

Association of a Negative Wealth Shock With All-Cause Mortality in Middle-aged and Older Adults in the United States(JAMA)

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