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音声言語と手話、反応する脳の部位は実は同じ

声で話す言語と、手話。このふたつは大きく異なるように思われるかもしれないが、最新の研究でどちらの場合もフレーズを形作るには脳の同じ部分が使用されていることが判明した。

これまでにも音声言語と手話の構造は基本的に似ているなどといった研究などはあったものの、今回はそれが神経科学的に証明されたことが大きな点だ。 

同じ部位、同じタイミング

Scientific Reportで4月3日に公開された今回の研究で対象となったのは、アブダビ在住の英語話者とニューヨーク周辺に住むアメリカ手話話者たち11人ずつ。共に話者と手話社に同じ絵を見せ、それに意味的に同じ表現で最低2単語必要とするフレーズを付けさせ(例えば「赤い、バッグ」など)、それを言うもしくは手話で表現する。その様子を脳磁図で記録するという研究であった。

その結果は、英語話者もアメリカ手話話者も共に、左側頭皮質(left anterior temporal cortex)と前頭前皮質腹内側部(ventromedial prefrontal cortex)が同様のタイミングで活発になったのだ。音を主な要素として伝える言語と、動きを主な要素として伝える言語、表現方法にこれだけ大きな違いを持っていても脳の同じ部位が反応するというのは興味深いことだ。

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今回の実験では研究対象にできるだけ管理された刺激を与えてその反応を見るために様々に工夫を凝らしている。実験対象にしても英語話者は(アブダビ在住ではあるものの)アメリカかイギリス英語のネイティブでそれ以外の言語の知識が無く、右利き。アメリカ手話話者もみな右利きで、生まれつき耳が聞こえず、幼年期からアメリカ手話を覚え始め、その他の言語の手話の知識が無いとされる。また、絵に使われる単語も英語では単音節、手話では短い単形態素で片手で表現できるものが選ばれている。どちらの話者も絵で見たものをその言語で表現するという実験であった。

なお、英語とアメリカ手話の文法は異なる。しかしそれでも彼らに共通した言語として、文字言語としての英語があるということも忘れてはならないだろう。また、今回の実験では結果を左右する大きな要素となっていないだろうが、視覚を全く持たない人を除けば、音声を使用した言語の中にも表情やボディーランゲージといった視覚的要素が存在することも頭に留めておくべきかも知れない。

今回は二つの言語に限って、絵を見てフレーズを構成する時に限った脳の反応をみたものであるが、他の言語、他の言語手話では同違いが出るか。英語とアメリカ手話のバイリンガルの場合、母語ではなく後に習得した言語を用いて行った場合はどうなのか。そして言葉を構築するのではなく、言葉を聴覚/視覚を通じて受け取った時に反応する部分に差が出るか、なども気になるところである。

Our brains treat signed and spoken languages alike(Futurity)

Shared neural correlates for building phrases in signed and spoken language(Scientific Reports)

Viittomakuvia aihepiireittäin(Papunet)

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