Credit : Petros C. Benias et al via Scientific Reports

人間に未知の器官があった?体内の隙間を埋める細胞組織「間質」

現代アート?いえ、これは色付けされた細胞をリアルタイムに写し出した画像。

「プローブ型共焦点レーザー内視鏡」という技術を使い、人の胆管の表面から60~70 ミクロンの深さにある細胞組織を調べていた研究者たちが、これまで誰もが見落としていた新しい構造を発見した。この発見をもとに間質が「新しい器官」であると主張しているが、反論も少なくないようだ。 

間質とは

体内のあらゆる器官と器官との隙間を埋めて、それぞれの器官や臓器を支える役目を担っている間質と呼ばれる細胞組織内には、体重の約20%を占める大量の水分が蓄えられている。この水分は体中をめぐって細胞間での栄養や排泄物のやりとりをつかさどり、またリンパ節にはけて免疫のはたらきにも関与している(Physiological Reviewsより)。

その存在はとっくの昔から知られていたものの、間質の構造はいままで詳しく解明されてこなかった。というのも、従来のやり方で細胞を極薄にスライスして顕微鏡で見ようとすると、調整の段階で水分が流出してしまうため細胞のありのままの姿を見れないというジレンマがあったのだ。 

スポンジ構造

今回、マウントサイナイ医科大学の附属病院に所属する研究者たちは共焦点レ一ザ一内視鏡(confocal laser endomicroscopy)と呼ばれる技術を使い、この難点を克服した。

共焦点レ一ザ一内視鏡とは、慶應義塾大学医学部内視鏡センターによれば生体組織に蛍光色素を投与後、レ一ザ一光を照射し、生体内で顕微鏡レベルの観察を可能にするそうだ。マウントサイナイ病院の研究者たちはこの方法を使って人の胆管の間質内に水分をたっぷりとふくんだスポンジのような構造を発見し、その研究結果を学術誌Scientific Reports上で発表した。

Credit: Petros C. Benias et al via Scientific Reports

間質のスポンジ構造は、胆管のみならず体中の隙間を埋めていることもわかった。総合すると他のどの器官よりも大きな面積を誇っていると同時に、水分を蓄えるという重要な機能を持っていることから、単に隙間を埋めるためのフィラーではなく間質自体が立派な器官とみなされるのではないかとも提案されている。

反対意見も顕著だ。皮膚が体中を覆う重要な役割を果たしているのに一器官とみなされないのと同じく、間質にも特化した機能を認めつつ器官とはみなさない識者が多いようだ。

器官であれ、器官でないであれ、今回の研究により間質の詳細な構造が明らかになったのは今後病理学の研究にも大きく役立ちそうだ。内部に水分を蓄えた網状組織で形成され、細胞同士をつないでいる間質が、がんの転移、浮腫や線維症のメカニズムなどを解明する鍵となりうるという。

Structure and Distribution of an Unrecognized Interstitium in Human Tissues (Scientific Reports)

Scientists found a ‘new organ,’ but it might not be what you’re expecting (Popular Science)Interstitial Fluid and Lymph Formation and Transport: Physiological Regulation and Roles in Inflammation and Cancer (Physiological Reviews)

臨床研究(慶應義塾大学医学部内視鏡センター)

RELATED POST