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薄いなんてもんじゃない!原子3個分の極薄ディスプレイ開発

原子3つ分の厚さ、幅1mmの光を放つ単一層半導体ディスプレイをカリフォルニア大学バークレー校の研究チームが開発した。LEDの用に光り、光が消えれば透明な素材で、実用化されれば将来様々に活用出来そうだ。

スイッチを消したらディスプレイが消える、なんて未来的じゃないだろうか?ディスプレイに表示されている内容が消えるのではなく、ディスプレイがまるでそこに存在しなかったかのように見えなくなってしまう、これはそんな未来を可能にする可能性を秘めた不思議な「単一層半導体ディスプレイ」なのだ。一体どんな仕組みだろうか?

ちょっと難しいその仕組み

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これまで、LEDなどを小型化しようとすると、ショットキー接合による制約や複雑なヘテロ構造が必要とされるなどして難しかった。しかし研究チームは遷移金属カルコゲナイド(Transition-metal dichalcogenide、TMD)を用いることでそれらの問題を解決。そうすることでできたこの新たなデバイスは、LED技術を原子3つ分の分厚さで幅1mmというサイズにまで小型化が可能となったのだ。

しかしこの状態では明るいとは言えないため、チームはこれをより長く幅広くディスプレイ状にしようと試みた。そしてできたものは、光る仕組みはLEDとそう変わらず、二つの電極から正と負の電流がぶつかり合うことで発光する。実は同大学の研究では2015年にすでに単一層半導体をこれと同じ仕組みで発光させる事ができることは判明していた。しかしこれを効率的に光らせる方法はこれまで編み出されなかった。これが難しかったのはもちろん単一層半導体が原子3個分という極小サイズだからだ。

今回研究では単一層半導体を絶縁体の上に置き、その上と絶縁体の下とに電極を設置するという新たな手法が試みられた。こうすることで絶縁体の表面を電気が流れ、光るという構造だ。これにより研究チームは透明な単一層半導体による光るディスプレイを始めて完成させることができたのだ。この研究は3月26日にNature Communicationsに発表されている。 

明るい未来がやってくる?

放つ光は明るく、それでも光を放たなければ透明になってしまうという不思議な極薄ディスプレイ。ただ薄いだけではなく、柔軟性も高いためカーブさせることも可能だという。今のところはまだ実験段階のものでしかないが、今後効率性を高めることにより、様々な製品に活用することもできるだろう。

例えば極薄な照明にも使えるし、そのままディスプレイにも使うことができる。ウェアラブルデバイスのディスプレイとしても良さそうだし、どんどん薄くなっていく薄型テレビを更に薄くする事もできるかも知れない。それに、光っていない時には透明という点を活かして、ガラスや鏡、時計の風防などを必要な時だけディスプレイとして使う用途なども考えられるだろう。

研究を率いたアリ・ジャヴェイ(Ali Javey)教授は、この技術を実用化させるにはまだ数々の課題があるが、単一層半導体に簡単に正負電荷を注入することのできる今回考案された仕組みで一歩前進したとカリフォルニア大学バークレー校のニュースで語っている。

Novel material paves the way for atom-thin, invisible displays(ZME Science)

Large-area and bright pulsed electroluminescence in monolayer semiconductors(Nature)

遷移金属カルコゲナイド2次元結晶(日本物理学会)

Atomically thin light emitting device opens the possibility for ‘invisible’ displays(Berkley News)

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