Credit : Creative Commons

驚異の浄水能力!ナノ素材グラフェンで有機物質シャットアウト

様々な分野で注目を集めるナノカーボン素材「グラフェン」が、水の濾過にも素晴らしい性能を発揮することが研究で判明した。化学薬品による浄化の代わりとなり得る新浄化法として期待される。 

グラフェンとは

グラフェンは、炭素原子が一個分の厚さで綺麗に蜂の巣状に並んだシートだ。薄く、軽く、熱伝導や伝導性は他に類を見ないほど優れ、柔軟ながらも破れづらい。

そんな魔法のような素材であるグラフェンだが、実際にこれを利用した用途は未だ様々な応用アイデアが次々に考え出されている段階とも言える。例えば、新しい半導体材料や、フィルム、センサー、バッテリーへの利用や生物工学にも期待されているのだ。 

従来の浄水の限界

オーストラリアのニューサウスウェールズ大学の研究では、そんなグラフェンをフィルターとして使用して水を濾過している。

この大学のあるシドニーでは、シドニー水道局(Sydney Water)が480万人に水を提供している。しかし自然からの水は純粋な水とは言いがたく、微少な有機物質粒子の汚染物質が存在するので、水道局は直接濾過施設を使用している。浄水の課程では化学凝固剤を使用することで、有機物質が一緒に固まり合って沈むことで、それらが上水に入らないようにしているのだ。それでも、雨期には有機物質粒子の量が増えることで化学反応にかかる時間が増す。そのため濾過施設の処理能力が低下してしまうのだ。

グラフェンの構造 – Credit: AlexanderAlUS CC3.0

グラフェンを浄水フィルターに

4月刊行のジャーナル「Carbon」の129号に発表されるニューサウスウェールズ大学の研究では、グラフェンオキサイド(酸化グラフェン)の膜をフィルターとして用いている。その結果、従来の化学物質を全く使わずに、水の流れを遅めること無く、有機物質を最大で100%濾過することが可能だった。そう、つまりこの膜は選択的透過性を持っており、水分子は通すが有機物質粒子は通さないのだ。

研究を率いたラケシュ・ジョシ(Rakesh Joshi)博士によれば、「他のどのようなフィルター方法でも低水圧下で自然の有機物質を99%近く濾過出来るものは無かった」とのことで、従来の浄水施設で使われている仕組みの代替となる新たな浄水方法となるかもしれないとしている。

この浄水用のグラフェンフィルターは、未だ現在のところは実験用のものでしかないが、ニューサウスウェールズ大学は実地試験用に小規模な実験用浄水施設を作る予定だ。

今回の研究では浄水施設の処理能力が低下すると、浄水に用いられる消毒薬が増やされることに繋がることから、それによる弊害も指摘されている。人間の生活に欠かすことのできない水。化学薬品を使う代わりに新たな浄化方法としてグラフェンでできたフィルターが実用化されれば、消毒薬を使用することも減り、より安全な水を提供出来ることになるだろう。

Novel graphite filter removes 99% of organic waste in water(ZME Science)

Application of graphene oxide membranes for removal of natural organic matter from water(ScienceDirect)

Graphene Applications & Uses(Graphenea)

AlexanderAlUS CC3.0(Wikimedia Commons)

RELATED POST