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古代遺跡の謎は文化天文学が解き明かすかも

エジプトのピラミッドの正確な方位や、6000年前のポルトガルの墳墓の謎の構造は文化天文学(Cultural astronomy)で解き明かすことができるだろうか?The Conversationに寄稿するノッティンガム・トレント大学の天文学講師 、ダニエル・ブラウン(Daniel Brown)が、ギザの大ピラミッドや長い入り口を持つポルトガルの墳墓の謎を文化天文学の視点から説明している。

ギザのピラミッドと星々

ギザのピラミッドは、4角が非常に僅かな誤差で4つの方位を向いていることが判明している。最近、ギザのピラミッドを研究する工学者のグレン・ダッシュ(Glen Dash)は、ピラミッド建造に当たり古代でも使用可能な簡単な方法で方位を正確に知るには、「インディアン・サークル」(Indian circle)という方法が使われたのではないかという仮説を発表している。

これは地面に棒を立ててできる影を刻々と記していき、その線と2点が交わるように棒を中心とした円を描く。この交わった2点を直線で結べば、この線は東と西を指すものである、というもの。棒と紐さえあればできる非常に簡単な方法だ。

確かにピラミッドを建てた人がこの方法を知っており、他の方法を知らなければ、インディアン・サークル法が使われたかもしれない。しかしブラウンは、当時のエジプトの神話や、人々の使っていた方法などを知ることで、より信頼性の高い答えが見つかるのではと語る。古代エジプトでは、メルケトという定規に錘のついた糸がついたような道具を用いて方位や時間を測った。

2001年の研究によれば、これを夜の間中見えるおおぐま座の二つの星、「おおぐま座デルタ星」と「おおぐま座ガンマ星」の位置と共に用いると北方位がわかるのではとされている。このようなことや、エドフ神殿に刻まれた、北斗七星とその位置を表す象形文字「雄牛の前足」などから、古代エジプトの文化には星が深く関わっていることをブラウンは強調している。

ポルトガルの墳墓と星

左下の明るい星がアルデバラン – Credit: IndividusObservantis, resized
ブラウンは同様に、ポルトガルにある6000年前の墓場も文化天文学的な知見からその意味合いを見いだそうとしている。この墓場の入り口部分は、連なった石で囲われた通り道となっており、墓の中からはおうし座の赤く輝く明るい星、アルデバランがよく見えるようになっているのだ。

加えて、このような墓の通り道はただ葬儀の際に使われるだけではなく、他の儀式の際にも用いられていたのではないかとされている。そして、墓場の内部から空を見たときに周りの星が墓入り口の壁により遮断され、アルデバランがよく見えることから、これは星を見るための古代の望遠鏡のようなものだったのではないかという説を出している。

もちろん、どれだけ文化天文学の観点から説明出来るような状況証拠があったところで、それ以外の方法や意図を持って建てられた可能性は、これらの古代建造物を建てた人に直接聞かない限りは、「最もらしい説」にしか過ぎない。

それでもこのように建造物の建てられた時代の文化を考慮に入れることで、太古の昔の文化の中でそれら構造物の持ったであろう意味合いへ、私たちの意識を誘うことができるのは紛れのない事実だろう。

Astronomy can help us understand how ancient Egyptians built the pyramids(Independent)

From the pyramids to Stonehenge – were prehistoric people astronomers?(The Conversation)

What is the Indian circle method?(Quora)Egyptian ‘star clock’ (merkhet), c 600 BC. (Science & Society)

The prehistoric tombs that may have been used as ‘telescopes’(The Guardian)

Central area of constellation Taurus, showing Aldebaran at the lower left. by IndividusObservantis (Wikipedia)

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