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宇宙の謎に生涯をかけて挑んだホーキング博士…名言と共に振り返るその生涯

世界的に有名なイギリスの理論物理学者、スティーブン・ホーキング博士が現地時間3月14日自宅で死去したとBBCが報じた。76歳だった。本稿では、宇宙論の分野に大きな功績を残したホーキング博士の生涯を、彼の言葉と共に振り返ってみる。

「私のゴールは明快だ。宇宙はなぜこうなっており、なぜ存在するのか、完全に理解することにある」

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ホーキング博士は1942年1月8日(面白いことにこれはガリレオ・ガリレイの死後ぴったり300年後だ)にイギリスで生まれた。ユニバーシティ・カレッジ・オックスフォードに進学し、そこで数学を学びたかった彼だが、数学を選択することができなかったため物理を学び始めた。彼が宇宙論を研究し始めたのはケンブリッジ大学の応用数学と理論物理学学科において。彼の残した功績は、ロジャー・ペンローズと共に記した「特異点定理」や、ブラックホールの中に閉じ込められたものが「ホーキング放射」として放射される「ブラックホールの蒸発理論」、など相対性理論とブラックホールに関するものは後の宇宙論に大きな影響を与えた。

しかし一般大衆の間にも彼を名を広く知らしめることとなったのは、1988年に彼が発表した著書『ホーキング、宇宙を語る』だろう。1,000万部売れたというこの本を一体どれだけの人が完読したのかはわからないが、この本は237週もサンデー・タイムズ紙のベストセラーに載り続けギネス世界記録にも掲載されたほか、40か国語に翻訳され、世界的に話題となった。

彼がその人生で残した功績は広くたたえられ、アルベルト・アインシュタイン・メダル、ウルフ賞物理学部門、コプリ・メダル、基礎物理学賞など様々な賞を受賞しているほか、母国イギリスでは大英帝国勲章を、アメリカではバラク・オバマ大統領時代に大統領自由勲章を受賞している。

最初の妻ジェーン(左)と娘ルーシー(右)らと共に英国アカデミー賞のレッドカーペットで – Credit: Getty Images

ホーキングは21歳の時にはALS(筋萎縮性側索硬化症)であると診断され、後2年の命しかないと宣告された。しかしそんな余命宣告をものともせず、ALSと診断されてから数年後の1965年に最初の妻ジェーンと結婚。ホーキングのALS診断から結婚、そしてペンローズとの出会いから特異点定理を考え出すに至るまでは、ベネディクト・カンバーバッチがホーキングを演じたBBCのドラマでディスカバリーチャンネルでも放送された『ホーキング』で描かれている。

彼らは3人の子供をもうけるものの、その後離婚し、ホーキングは彼の世話をしていた看護師と再婚。このくだりはエディ・レッドメインがホーキングを演じた映画『博士と彼女のセオリー』で描かれている。後にホーキングはこちらとも離婚している。

それでも子供たちとの仲は良好だったようで、今回のホーキングの死の発表は彼の3人の子供たちによって行われ、「愛する父の死により深く悲しんでいる」と語られている。

「私は死を恐れないが、死に急いでいるわけでもない。その前にしたいことは山ほどある」

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長い年月をかけてALSの症状が徐々に進んでいったホーキングだが、車いすに人工音声のまま研究、執筆、講演を続けていた。彼の声は1985年にCERNを訪れた際に感染症を患い、その手術により失われた。その後ある意味彼のトレードマークともなったコンピューター搭載の車いすから発せられる人工音声は、当初は指により話す内容を選択することにより行われていたが、病状が進み手を動かすことができなくなってからは、頬の筋肉を動かすことで言葉を選択するようになっていた。

ホーキングは死後の世界は信じておらず、ガーディアンによれば彼は「私は脳をコンピューターだと考えており、これは部品が働かなくなると機能を停止する。壊れたコンピューターに天国や死後の世界は存在しない、それは暗闇を恐れる人々のためのおとぎ話だ」などと語っていたという。

だが同時に彼はユーモアを欠かさなかったことでも知られる。ビジネスインサイダー・ノルディックによれば、ホーキングが本人役でゲスト出演した『シンプソンズ』のライターでプロデューサーのアル・ジーンは、彼を「宇宙ほど広大なユーモア」を持つ人物だと評している。このほかにもホーキングは、『新スタートレック』、『フューチュラマ』、『ビッグバン★セオリー/ギークなボクらの恋愛法則』などのテレビ番組に本人役でゲスト出演するなどもしている。

ディスカバリーチャンネルでも、従来は医療、哲学、宗教などで考えられていたテーマにホーキング博士が彼のユニークな視点から切り込む番組の数々、『ホーキングが語る幹細胞と再生医療』、『ホーキングの好奇心:生きることとは?』、『ホーキングの好奇心:宇宙の創造主とは?』などの番組を放送してきている。

複雑な宇宙論だけでなく、ポップカルチャーも通じて、科学者から若者にまで幅広い人々に影響を与えた、我々の時代を代表する輝かしい星、スティーブン・ホーキング。その功績は今後も残り続けるだろう。

Stephen Hawking dies aged 76(BBC)

The Official Website(Stephen Hawking)

Stephen Hawking, modern cosmology’s brightest star, dies aged 76(The Guardian)

Stephen Hawking had a ‘sense of humor as vast as the universe’: unique tributes flood in for esteemed scientist(Business Insider Nordic)

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