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英国でカエル型チョコが謎の値下げ…気候変動でカカオ生産が危ぶまれる中で

気候変動によりあと30年ほどでチョコレートの原材料となるカカオが作れなくなるとされる中、ここ18年間値上がりし続けてきたイギリスで人気のカエルの形のチョコレートバー「フレッド」(Freddo)が値下がりしたと英インデペンデントが伝えている。 

チョコレートの終焉

現在世界のカカオの生産の半分以上は西アフリカのコートジボワールとガーナで作られている。しかしアメリカ海洋大気庁によると、この調子で気候変動が続けば2050年頃にはそれらの国々の気温は2.1度上昇するとされる。カカオは気温上昇には耐えられるのだが、西アフリカではこの気温上昇には降雨量の増加は伴わないため、温度が上がることにより土壌や植物中から失われた水分が雨により補給される見込みがない。そしてこれがカカオの生産に問題となるのだ。

現在カカオを生産している場所よりも高度の高い地域に生産を移せば問題無いとも見られてはいるが、現在それら生産国のより高度の高い山々は自然保護区域となっているため、農作物を育てることはできない状況だ。チョコレートが食べられなくなる未来、自然保護区域を切り崩してチョコレートを生産する未来…世界のココア生産をになう国々はこのようなという難しい選択を迫られている。

そんなこともあってか、イギリスのお菓子メーカー、キャドバリー(Cadbury)の販売するカエルの形のチョコレートバー、フレッドの価格は2000年には10ペンス=約15円(2018年3月9日現在)だったものが、ここ18年間の間に30ペンスにまで上がってきた。これまでずっと値上がりしてきたフレッドが、今年30ペンスから25ペンスに値下がりするのだ。価格は16%下がったものの、製品のサイズや原材料はそのままだという。キャドバリーはフレッドの値下げと同時に他の数種のチョコレートバーの値下げもしている。 

フレッドの誕生

実はこのフレッド、今でこそイギリスの会社に販売されているが、もともとはオーストラリア生まれのチョコレートバーだ。1930年にオーストラリアのチョコレート会社、マクロバートソン・チョコレート(MacRobertson Chocolates)で型作り師として働いていた当時18歳のハリー・メルボルン(Harry Melbourne)は、社長がネズミの形のチョコレートを作ろうとしているのを小耳にはさんだ。率直な性格の青年メルボルンはクビを覚悟で「女性や子供はネズミを怖がるから、ネズミの形のチョコレートよりもカエルの形をしたものの方が売れる」と社長に助言、すると社長がそれを見てみたいので一つ作って社長室まで持ってきてくれないかと頼んだ。その三日後、彼はカエルのアイデアが採用されたことを伝えられた。

1967年にはマクロバートソン・チョコレートがイギリスのキャドバリーに買収され、以来フレッドもキャドバリーの製品として売られている。フレッドの生みの親のメルボルンは2007年、94歳でこの世を去ったが、彼の考案したカエルの形のおかげで、今でもこうして話題になるほどの人気を博したのだ。

(動画は60年代マクロバートソン・チョコレート時代のフレッドのCM)

チョコレートの値段

そんなフレッドをイギリスで作るとしても、原材料の一部は海外から輸入しないといけない。フレッドの原材料は、牛乳、砂糖、カカオバター、カカオマス、植物油などとなっているが、将来が危ぶまれるカカオを除く他の素材も、例えば使用されている植物油だって海外からのものだ。実際にフレッドに使われる植物油はパーム油とシアバターであり、「パーム油調達ガイド」によれば、世界のパーム油の85%はインドネシアとマレーシア、シアバターもアフリカ原産だ。

海外から原材料を輸入しなければならないとなると、通貨もその値段を決める要素の一つだ。ここで少し話をキャドバリー社のフレッドから、キャドバリーの親会社の別ブランドの話に変えよう。キャドバリーは実は2010年にモンデリーズ・インターナショナル(Mondelēz International)に買収され、その子会社となっている。このモンデリーズ社は、三角のチョコレートが山脈のように連なる形でおなじみ、スイスのトブラローネ社も保有している。国際空港の免税店などで山のロゴが描かれた三角柱状のパッケージを見かけたらそれがトブラローネだ。だが、2016年末にはイギリスで販売されるトブラローネの「山脈」の山と山との間に大きな隙間ができ、大きな問題となった。この際にモンデリーズは、原料価格の向上に加えて、イギリスのEU離脱「ブレクシット」による英ポンド通貨の価値が急落したためだと説明している。

製品の値段をめぐって、フレッドのようにサイズを変えないまま値上げをするか、トブラローネのように内容量を減らして値段を据え置きにするか、これは作り手にとっても買い手にとっても難しい問題だ。 

海外で作るという選択

テレグラフによると、モンデリーズはキャドバリー買収の際にイギリスの工場を一つ閉鎖し、400人が仕事を失った。これがイギリス議会の関心を呼び、2011年には社長がイギリス議会に呼ばれ質疑応答なども行われており、その際には議会でイギリスでのチョコレート製造を約束。しかし2017年はじめに同社は、キャドバリー・デイリー・ミルク(Cadbury Dairy Milk)というミルクチョコレートの製造を、イギリスから遠く離れたポーランドにあるキャドバリー所有の工場に移していたことが明らかになり批判を浴びていた。同社はこれはあくまでも一時的な処置措置としており、2017年4月には、イギリスにこれまでよりも規模の大きなチョコレート工場を建て、デイリー・ミルクを含めた複数のチョコレートの製造を国内に戻すことを発表している。

ポーランドはEUの中でも物価ならびに人件費が安く、通貨もユーロではなくズウォティだ。もちろんこの件をしてモンデリーズが海外でイギリス向けのチョコレートを作ることで値段を抑えようとしていたと決めつけるわけではないが、このことからは、チョコレートの製造には価格だけには終わらない国内生産に対する人々の気持ちも複雑に絡み合っていることが見て取れる。

安価なフレッドを求めるデモ

フレッドに話を戻すと、2017年9月にはロンドンのトラファルガー広場で安価なフレッドを求めるデモが行われている。これは幼いころからフレッドを食べて育った若者たちが、10ペンスから30ペンスにまで価格が高騰したことに対して行ったデモで、どこかしらお遊びじみた雰囲気もあるものの、その主張は一部傍観者たちにも受け入れられていたようだ。

なおフレッドの価格を追い続けてきたVouchercloudによれば、2000年当時から今までのインフレーションを考慮しても16ペンスが妥当としている。

今回のフレッドの値下げが、企業努力により製造コストをどうにかして下げたか、それとも企業利益を下げて実現したものか、また、このようなデモを受けて値下げの決断に至ったのかは推測の域を出ない。しかし小遣いの少ない子供たちにとって、昨年よりもちょっぴりカエルの形のチョコレートが買いやすくなったことだけは事実なようだ。

CADBURY CUTS PRICE OF FREEDO BARS TO 25P Independent)

Freddo Frog creator dies(The Sidney Morning Herald)

Freddo(Cadbury AU)

Freddo(Cadbury UK)

MacRobertson’s Confectionery Factory(Culture Victoria)

Cadbury comes home as Dairy Milk production set to return to UK(Telegraph)

Cadbury warns chocolate bars could get smaller because of Brexit (The Telegraph)

Kraft facing backlash over factory close as 400 Cadbury workers lose their jobs(Express)

カカオ豆の生産量の多い国(外務省)

パーム油の利用(パーム油調達ガイド)

Freddo Frog Fans Protest rise in Pricing #Justice4Freddo(YouTube Grace Kelly)

Justice for Freddo(Facebook)

MacRobertson’s Freddo Frog – TV commercial(YouTube Conniptions886)

Crow FM 90.7(Facebook)

Climate & Chocolate(NOAA)

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