Credit : Stec et al via PLOS ONE

最強生物クマムシの新種、山形の駐車場で発見

慶應義塾大学は3月1日、「最強生物」としても知られるクマムシの新種が山形県で発見されたことを発表した。駐車場で発見されたこの新種は、庄内地方で見つかったチョウメイムシ科であることから「ショウナイチョウメイムシ」と命名された。

1mm以下の小さな体で様々な生息環境に存在するクマムシは、体から水分をほとんどなくして代謝しない「乾眠」状態になることができる。この状態では超低温や放射能、宇宙真空にも耐えられるという極限環境耐性を持っているため「最強生物」などと呼ばれることもある。クマムシの仲間は1700年代に初めて見いだされ、世界中にこれまで約1200種見つかっている。日本では見つかっている167種のうち、新種は26種類とさほど新種発見例は多くない。そんな中で日本での新種168種目となったのがショウナイチョウメイムシだ。

Credit: Stec et al via PLOS ONE

ショウナイチョウメイムシが発見されたのは、山形県鶴岡市大塚町のアパートの駐車場。そのコンクリートに生えたコケの中から見つかった。クマムシは研究室環境で育てることも難しいとされるが、幸いなことに今回のショウナイチョウメイムシはクロレラとミネラルウォーターなどにより育て、繁殖させることができた。このクマムシは、1834年にドイツで発見された「Macrobiotus hufelandi」という種にとてもよく似ていたものの、体の表面を覆うクチクラという表皮膜の層に観られる孔の大きさの違いや、脚の一部の形状の違い、卵の表面の突起の違いなどが異なっていた。さらにこれをDNA情報を解析することにより、これが新種であると判明したのだ。

これまでクマムシの分子生物学的研究では、今回見つかった物とは別の科である「ヤマクマムシ科」に関するものがほとんどだった。また、ヤマクマムシ科は、単為生殖をするものであり雌しかいないものだ。一方ショウナイチョウメイムシは雄雌が存在し、生殖に交尾を必要とする。このため今回発見されたショウナイチョウメイムシを研究することで、クマムシの極限環境耐性や生殖に関してより理解が深まるとみられている。

なおこのショウナイチョウメイムシは、ケニアやエクアドル、アルゼンチンやスコットランドで見つかっているチョウメイムシ科のクマムシと同じ「hufelandi」という分岐群に属すとされる。そして日本では、この上種に属すとされるのは今のところ今回のものしか知られていない。この発見はPLOS ONEに2月28日に発表された。

(下動画はショウナイチョウメイムシが脱糞する貴重な映像。)

「ショウナイチョウメイムシ」と命名山形県鶴岡市内から最強生物クマムシの新種を発見(慶應義塾大学)

New tardigrade species with unusual eggs found in Japanese parking lot(ZME Science)

An integrative description of Macrobiotus shonaicus sp. nov. (Tardigrada: Macrobiotidae) from Japan with notes on its phylogenetic position within the hufelandi group(PLOS ONE)

Macrobiotus shonaicus – ショウナイチョウメイムシ – 3(YouTube)

Macrobiotus shonaicus – ショウナイチョウメイムシ – 1(YouTube)

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