Credit : Global Crop Diversity Trust via Facebook

ノルウェー・スバールバルの「食糧の箱舟」、10周年を迎える

もし世界規模の災害が地球上の農作物すべてを根絶やしにしてしまったら。そんな最悪の事態に備えて建てられたスバールバル世界種子貯蔵庫(Svalbard Global Seed Vault)が今年10周年の節目を迎え、ノルウェー政府は1億クローネ(1億3千万円相当)をかけた大規模な修繕計画を発表した。

スバールバルは世界中のローカル種子バンクのいわばグローバルバックアップ。その目的は、たとえ戦争や天災によって世界中の農作物が失われても、スバールバルに同じ種類の種子が保存されているので未来の人類の作物を確保できるというもの。450万種の種子の貯蔵が可能で、現在890,886個の種子サンプルを−18℃で冷凍保管している。

保管されている種子でも一番種類が豊富なのは15万9千種類のムギだ。14万6千種類のコメ、7万種類のオオムギと続き、ほかにもソルガム、マメ、トウモロコシ、アワ、ダイズ、サツマイモ、ジャガイモ、キャッサバ、ココナッツ、ネギ、ヤムイモ、バナナ、イチゴ、コーヒー…とさながら世界中のおいしそうなものを集めた「食糧の箱舟」のようだ。

Credit: Global Crop Diversity Trust via Facebook

その大切な種子コレクションを貯蔵するのに最適な場所として選ばれたのが、氷に閉ざされたノルウェー領スバールバル諸島のスピッツベルゲン島。海抜130メートルに位置する山の下に掘られた貯蔵庫は、万が一冷却装置が機能しなくなっても永久凍土に囲まれているので自然に冷やされるし、湿度も低い。地質学的にも安定しているうえに、津波の心配もないという。

どんな災害にも耐えうる強固な建物で種子を守っていたはずなのだが、2016年に水害が報告された。なんと、地球温暖化のせいで永久凍土の一部が溶け、水がスバールバル世界種子貯蔵庫に入り込んでしまっていたのだ。

幸い雪解け水は貯蔵庫の部内部には達していなかったため事なきを得た。今回の修繕では同じことが起こらないために貯蔵庫への新しいアクセルトンネルを掘り、さらに隣接した建物に緊急時の電源を蓄え、冷凍庫の排熱処理も行うそうだ。

種子の貯蔵は無料で承り、ビル・ゲイツのような大口寄付者やノルウェー政府が運営費を賄う。2015年には戦火で焼かれたシリア・アレッポに種子を貸し出し、もともと地域に根差していた農作物を復活させたそうだ。頼もしいバックアップに感謝すると同時に、将来スバールバル世界種子貯蔵庫のお世話にならないように祈りたい。

Norway to invest $13 million in “Doomsday” Seed Vault (ZME Science)

Svalbard Global Seed Vault Celebrates 10 Years (Crop Trust)

Svalbard Global Seed Vault (Crop Trust)

Global Crop Diversity Trust (Facebook)

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