Credit : L. A. Cicero via Stanford University

伸縮自在な電気回路、人体への電子機器の組込みも可能

人体など複雑な形状を持つ表面にもピタッと貼れる、伸縮自在な電気回路が発明された。将来的に人体への電子機器の組込みを可能にし、義手や義足の感覚を補うと期待されている。

スタンフォード大学のゼニン・バオ教授率いる他分野連携研究チームは、過去20年間に次々と編み出してきた特殊ポリマーを使ってトランジスタ回路、セミコンダクター、電極、電池など電気回路のすべてのパーツにおいて伸縮性を実現した。伸縮性が内在しているので、回路を倍ほどに引き伸ばしてもその電気的な機能を一切失わないそうだ。

2017年にバオ研究室が開発した伸縮可能で自然分解するセミコンダクター – Credit: Bao Lab via Stanford University

今回開発された5センチ角の電気回路には6,000個以上の信号処理デバイスが埋め込まれていて、神経のような働きをするそうだ。その感度は手のひら上の小さな電気じかけの昆虫の足の動きを感知できるほど優れている。

バオ研究室はこの電気回路を使った医療用の電子機器の開発を目指している。ゆくゆくはゴム手袋をはめるように伸縮自在な電子機器を義手や義足にまとい、失われた手足の感覚を取り戻せるようになるという。

伸縮可能で電気回路を持ち、傷も治せて自然分解する――そんな「未来の素材」を開発するうえでインスピレーションとなったのは人間の皮膚だそうだ。皮膚が何層も重なっているように、バオ教授の電気回路も幾層もの特殊ポリマーから構成されたとても複雑なシステムから成っている。

今回の研究では優れた素材の開発のみならず、その素材のスケーラビリティも考案された。大量生産を担保できれば、将来この新技術がますます社会に浸透していける鍵となりそうだ。医療機器のみならず、ぐにゃぐにゃ曲がるパソコンや、落としても画面が割れないスマートフォンなどの誕生にも期待がかかる。

Stanford researchers develop stretchable, touch-sensitive electronics (Stanford University)
Skin electronics from scalable fabrication of an intrinsically stretchable transistor array (Nature)
Stanford researchers create super stretchy, self-healing material that could lead to artificial muscle (Stanford University)
365 days: Nature’s 10 (Nature)
Zhenan Bao (Stanford Profiles)

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