Credit : NASA/JPL/SSI

土星の輪に雪山?今は亡きカッシーニが捉えた不思議写真

この写真は土星の持つ環の中でも輪の密度が高く幅が広い「B環」と呼ばれるものを土星探査機カッシーニが2009年に捉えたものだ。輪の中に雪山のようなものがあり、そこから長い影が延びているのがご覧にいただけるが、実はこれ、かなりレアな光景なのだ。

この写真は背後に土星を置き土星の外側にカメラを向け写したもので、画面手前の白から灰色のグラデーションの部分がB環、画面上部の黒い部分が「カッシーニの間隙」と呼ばれる環の隙間が見える。土星の輪の多くは水氷でできており、通常環の分厚さは10m程度しかないが、写真に見える雪山は環の平面から高さ2.5kmも突き出したものだ。しかし、地球上の雪山とは違い、これらの雪山は常に形を変える。

欧州宇宙機構ESAによれば、これらの山は土星の輪を構成する粒子が、輪の中にある「ムーンレット」と呼ばれる1kmほどの大きさの小天体の重力に反応してできたとても脆いものだという。ESAはこのようなムーンレットの存在が、通り抜けようとする粒子に影響することで、まるで波が砕けるような形でこのような現象が起きたのではないかとみている。

土星の輪の中でも大きなムーンレットが見つかるのはこのB環の外側部分。それでもこのような写真が撮れるチャンスはとても稀だ。春分や秋分のように昼夜の長さが同じ昼夜平分時でないと、このように太陽光の刺す角度が低く、輪の突き出た部分が長い影として落ちることはない。地球に昼夜平分時が来るのは年に二回で、それは土星にとっても変わらないが、土星の公転周期は地球の時間で約30年、つまり15年に一度しかないのだ。そして土星軌道上で13年間稼働し続けたカッシーニにとって、この機会は一度きりだった。そう考えてもう一度この写真を見ると、感慨深いものがある。

地球を1997年に飛び立ち、2004年に土星軌道にたどり着いたカッシーニは2017年9月にミッションを終了。この輪の持ち主である土星の大気圏に突入し、その役割を終えた。

SATURN’S B RING PEAKS(ESA)
NASA at Saturn: Cassini’s Grand Finale(NASA)

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