気付いた時には手遅れ?「理想的な彼氏」のヤバすぎる正体

様々なトラブルや犯罪の温床として、その危険性が広く知られるようになった“出会い系”サイト。利用にあたって「個人情報は安易に伝えない」「実際に会う前にきちんと相手を見極める」といった自己防衛の意識を持つことはもちろん重要だが、犯罪被害を回避するのにどれほど有効なのだろうか。

ラスベガスに住む48歳のメアリー・ケイ・ベックマンは、公私にわたる良きパートナーを心臓発作で亡くし、孤独で心細い日々を抜け出すべく新しい出会いを求めて人気の婚活サイトに登録。ほどなくウェイド・リドリーという理想的な男性からメッセージを受け取り、趣味や結婚歴の有無などについての数日間にわたる順調なやりとりを経て、実際に会うこととなった。

目の前に現れたウェイドは写真どおり魅力的な男性で、その正直な人柄や紳士的な振る舞いに強く惹かれたメアリー。2人の仲が急速に深まる中、ウェイドに離婚経験があること、そして前の恋人とは双方に接近禁止令が下されるような別れ方をしていることを打ち明けられたが、その内容よりも過去を正直に話す誠実さを彼女は評価した。

だが次第に、電話相手に対する過剰な関心、ちょっとした会話に感じる相手への尊重のなさなど、ほころび始めた彼の態度にメアリーは不快感を覚えるようになる。やがて、友人夫妻との会食の席でウェイドが繰り出したデタラメな自慢話や尊大な態度に我慢の限界を迎え、彼女は「距離を置きましょう」とウェイドに事実上の別れを宣告した。

その後、事業の業績は順調に伸び、仕事で知り合った男性との新しい恋も始まるなど、充実した日々を送っていたメアリーだったが、2011年1月21日の夜、凶暴な悪意が彼女に迫る。自宅ガレージで待ち伏せていたウェイドに、凶器のナイフが壊れるまで全身を何度も刺され、頭蓋骨を貫通するほどの重傷を負わされたのだ。

なんとか一命を取りとめ、奇跡的に数日で退院したメアリー。だが、警察の聴取を受けるも事件当時の記憶を失っており、犯人が誰なのか全く見当がつかない状態にあった。一方、逃亡中のウェイドは次なる報復を果たすべく、500キロ離れた場所にある4年前に別れた元恋人・アンのもとへ。2011年2月11日、アン殺害という目的を達成したウェイドは彼女の車を使って再びラスベガスへ向かう。今度こそ確実にメアリーの息の根を止めるために。

だが、警察はアンの自宅から持ち出されたカードの利用履歴を追うことで、凶悪な殺人犯の目的地を掴むことに成功。ラスベガスに到着したところを発見されたウェイドは即逮捕となり、メアリーは2度目の襲撃から免れることとなった。

その後ウェイドの自白によって、彼がメアリーと出会った頃に心の病で投薬治療中であったことが判明。メアリーと別れた後には精神科病院に3ヶ月入院したが、後日たまたま彼女を見かけたことをきっかけに感情のコントロールが崩壊し、邪悪な殺人鬼へと変貌してしまったのだという。反社会的人格者であるウェイドいわく、一連の犯行に関する後悔もなければ、罪の意識すら一切感じていないという。そして2012年2月、メアリーに対する殺人未遂で有罪となるも、2012年4月29日に刑務所内で自殺。アン殺害の裁判が始まる直前の出来事だった。

出会い系サイトが、交流の幅を大きく広げてくれるものであることは間違いない。ただしそこには、普段の生活では関わることのない、自身の常識の範疇から大きく逸脱した存在と“遭遇”する可能性もあることを、しっかりと理解しておく必要があるだろう。

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