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宇宙に車を打ち上げちゃったスペースX、地球と火星に害を及ぼさないか科学者が真剣に懸念

東部標準時間2月6日15:45(日本時間2月7日5:45)、世界が見守る中スペースX社のファルコンヘビーロケットに乗り込み宇宙へ旅立ったスターマン。彼(マネキン)と彼を乗せたテスラロードスターの運命を案じた天文学者のチームが今後の軌道シミュレーションを行った結果、100万年以内に地球に衝突する可能性が6%あるそうだ。 

スペースXの誤算 

スペースXによれば、スターマンは地球と火星の軌道と交わる楕円軌道を進行中で、太陽のまわりを何十億年も回り続けるように打ち上げられたそうだ。

Credit: Elon Musk Facebook page

しかし、スターマンが乗りこんでいるテスラ車にはカメラこそ3台もとりつけられているものの肝心な軌道修正装置は搭載されていない。 軌道修正できない以上、もしスターマンと地球の軌道が交差する点に同時にたどり着いてしまったら衝突は免れない。では、スターマンと地球はいずれ衝突する運命にあるのだろうか?

カナダとチェコの天文学者5名が共同発表した研究の題名は『ある車の酔歩、そして惑星との衝突の可能性』。科学者たちが短期間と長期間に分けてコンピューターシミュレーションを行った結果、今後1000年間は地球とニアミスはあるものの実際ぶつかりはしないそうだ。しかし、地球とニアミスをくり返すうちに地球の重力に影響されたロードスターの軌道はフラついてきて予測が難しくなってくる。今後100万年間に地球と衝突する可能性は6%、金星との衝突は2.5%だそうだ。

その後徐々に地球の重力から逃れ、金星の影響下に入る。350万年間という気の遠くなるような長いスパンのシミュレーション結果では、地球と衝突する可能性は10%、金星との衝突は3%に上がってしまうそうだ。けれども、たとえ地球と「衝突」しても、テスラ車とスターマンの質量では大気圏を通過しながら空中分解してしまうので地球人は心配に及ばないという。 

スターマンが地球の雑菌をばらまく? 

ところでお茶目なイーロン・マスク氏の策略で宇宙に打ち上げられたスターマンとテスラ車だが、ちょっとした出来心で地球上のモノを宇宙にばらまいてしまうといろいろな問題が起こりうる。

もし今後テスラ車が火星に不時着、または衝突したとする。すると、大気のほとんどない火星ではテスラ車が地球から運んできたバイ菌やらウィルスやらで火星を汚染してしまいかねない。いずれ火星に移住を計画しているマスク氏にとって、非常に困ったことになる。

 しかし今回の研究に携わったトロント大学のレイン教授によると、テスラ車が火星にバイ菌をばらまく可能性は無きに等しいとしている。とりあえず、スターマンが他の惑星に害を及ぼすことはなさそうだ。

政府機関の慣例やプロトコルに縛られない自由な発想だったからこそ、スペースXはスターマンを打ち上げた。でも科学者たちからはスターマンが害を及ぼす可能性が本気で心配されている。SNSユーザーはおおむね今回の打ち上げを肯定的に受け止めているが、一部からは「宇宙にゴミを捨てるな!」との声も上がっているようだ。

Credit: SpaceX

地球とのニアミスは73年後 

スターマンは果たして100万年の孤独に耐えられるのか。そしてテスラ車は宇宙の塵芥にさらされ、ピカピカなチェリーレッドの塗装を削られる運命にあるのか。スターマンが地球とのニアミスを経験するのは一番近くて2091年だそうだ。

Musk’s Tesla to stay in space for millions of years (BBC)
The random walk of cars and their collision probabilities with planets (arXiv.org)
Falcon Heavy Test Launch (Space X)
Elon Musk Facebook Page

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