消えては現れる謎の海王星の嵐、大暗斑

極寒の巨星、海王星には「大暗斑」と呼ばれる黒っぽい部分がある。いや、あったりなかったりする、と言った方が正しいだろう。これは海王星に時折現れる嵐で、研究者たちもその性質は完全に理解出来ていないのだ。 

消える大暗斑

大暗斑が最初に発見されたのは、1989年、NASAのボイジャー2号による観察だった。しかし後にハッブル宇宙望遠鏡で1994年に観察した際には、この大暗斑は海王星から消えていた。その代わりに新たな嵐が海王星の北半球に現れたのが確認されたが、それも暫くの後に消えた。海王星の大暗斑とよく引き合いに出されるのが木星の持つ巨大な嵐「大赤斑」だが、木星の大赤斑の方は200年以上も消えずに存在している。その一方で海王星の大暗斑は数年で消えてしまうのだ。

Credit: NASA, ESA, and M.H. Wong and A.I. Hsu (UC Berkeley)

裏切られる予想

こうして現在までにNASAに確認された海王星の嵐は5つにも登る。その形状や動きも様々で、研究者たちの予想を裏切るものだった。ある時南半球に現れた大暗斑は、これまでの研究から海王星の嵐は赤道近くに達して雲が派手に大分裂をして無くなってしまうだろうと思われていたが、実際には赤道に向かわず南極に向かい、地味に徐々に消えていった。まだまだ海王星の気候を理解するには時間がかかる事だろう。 

観測の難しさ

これまでに大暗斑を観察することができたのはボイジャーとハッブルのみ。そして現在は海王星を詳しく調べるのに使えるのはハッブル宇宙望遠鏡しかない。これは、地球の大気は青い光を高解像度で観ることが難しいため、たとえ最新の望遠鏡であっても地球からだと観測が難しく、1990年から使われているハッブル宇宙望遠鏡を使うしかないのだ。ハッブル宇宙望遠鏡は「外惑星大気レガシー」(OPAL:Outer Planet Atmospheres Legacy)という長期プログラムにより毎年、木星、土星、天王星、海王星などの外惑星を観測している。

なお海王星の大暗斑は硫化水素でできているとされ、その匂いは卵の腐ったような刺激臭だろうとされている。海王星を訪れることがあるとしても、この嵐を間近で観測するのには勇気が必要かもしれない。

Hubble Sees Neptune’s Mysterious Shrinking Storm(NASA)
Hubble Watches Neptune’s Dark Storm Die(YouTube)

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