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ドイツ、EU規制対応に向け公共交通機関の無料化検討

ドイツは公共交通機関を無料にすることで、国内を走る乗用車を減らし、二酸化窒素などの排出を減らそうとしているようだ。

無料化に関わる資金の一部は、ドイツの自動車企業が負担するとしている。これは、ドイツ環境相バルバラ・ヘンドリクス(Barbara Hendricks)らがEU環境長官カルメヌ・ヴェッラ(Karmenu Vella)に宛てた手紙に記されていた提案に記されていたとして、AFPが2月13日に報じたもの。 

公共交通機関でEUの排気規制に対処

EUは「命に係わる」汚染がヨーロッパの130以上の都市に影響し、年間40万以上の死と、200億ユーロの医療費負担となっているとして排気規制に積極的だ。しかし、二酸化窒素や、PM2.5などで知られる微細粒子排出量のEU規制に、ドイツは今のところ適合できていない。当初この排出量規制の締め切りは1月30日だったのだが、実はドイツのみならず、スペイン、フランス、イタリアなど8か国が締め切りに間に合うことができていない状況となっている。環境長官ヴェッラはこの締め切りを延長するとしたが、最終的に排出量基準を超過したままだと、法的措置がとられることとなり、違反国には罰金が課せられる。

これを回避したいドイツは、公共交通機関を無料化することで、乗用車を使う人を減らし、排気を削減、規制に適合したいというわけだ。とはいえ突然全国の公共交通機関を無料化するのも大変なことだ。無料化にかかる費用は10億ユーロ、約1331億円掛かるとされるが、これに関してドイツは自国の「罪深い」自動車会社に一部負担させる。

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ドイツ自動車業界も資金源に

罪深い自動車会社とは、フォルクスワーゲン、BMW、ダイムラーなど、2015年にディーゼル車をめぐる排出ガス規制不正問題に関与していたドイツの会社たちだ。排気ガス試験の時には規制に適合する排出をすが、通常走行時には規制を上回る排気となる不正ソフトウェアによって、全世界で1100万台以上に影響がでたとされる事件を起こした。Forbesなどの報道によれば、これは各社が意図的に合同で行っていたもののようだ。

提案では、政府がそんな自国の自動車会社に「この緊急対策を確実に融資させるべきである」とされ、フォルクスワーゲン、BMW、ダイムラーなどの自動車企業が2億5000万ユーロ、約333億円を公共交通機関無料化に提供することに合意しているとされる。この提案では、ボンやエッセンなど、ドイツ西部の5都市で遅くとも年末までにこれを試験的に実施するとのことだ。 

無料化コストのその先に

EU国内には一部の都市に限って公共交通機関の無料化を行っているところは他にもあり、例えばフランスのオーバーニュでは2009年から地域市民とそこで働く労働者が、エストニアの首都タリンでは2013年から市民に限り、公共交通機関が無料で使えるようになっている。タリンの例では、無料化により年間2000万ユーロの利益が出ているとされるが、他方1997年から公共交通機関の無料化を行っていたベルギーの都市ハッセルトは、コストが増えたことなどもあり2014年に有料化している。人口7万人の年ハッセルトと、人口42万の一国の首都タリンを単純に比較することはできないが、両都市が無料化に関して金銭コストが真っ先に論じられていることはどちらの例も同じだ。

しかし公共交通機関無料化に関わる表面的な金銭コストの先にあるのは、人の健康や地球環境という表面的に数値で表しにくいコストである。今後のドイツの試みではその部分もより明確になれば、EU圏外の公共交通機関の役割にも貢献することが期待できるだろう。

Germany wants to make all public transit free to cut back on pollution(ZME Science)
Germany eyes free transport to banish air pollution(AFP)
Dieselgate Product Of Vast VW-BMW-Daimler Car Cartel Conspiracy, Fresh Report Says(Forbes)
The Tallinn experiment: what happens when a city makes public transport free?(The Guardian)
Hasselt cancels free public transport after 16 years (Belgium)(Eltis)

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