Credit : NASA/Maria-Jose Viñas

氷のハートもとらえたNASAの南北極調査、昨年の観測は最多記録を更新

バレンタインデーは過ぎてしまったが、NASAはなんだかロマンチックな写真を公開している。

グリーンランドで氷山分離により、ハートの形が現れた様子が撮影された。これは南北両極の氷の状態を飛行観測する、NASAの「オペレーション・アイスブリッジ(Operation IceBridge)」プロジェクトで昨年撮影されたものだ。 

2017年、記録破りの年

NASAは2017年の同オペレーションを振り返り「記録破りの年」だったとしている。2009年から始まったオペレーション・アイスブリッジ、通常は南極と北極に1回ずつと小規模オペレーションが2回の計4回のミッションだが、2017年は調査範囲を拡大したため年間最多の7度のミッションが行われ、合計87回のフライトがなされた。87回のフライトで研究者や機材は合計地球8.6周分の21万4000マイル、約34万km分飛んだという。

北極側は、北極海の東にあるスヴァールバル諸島を今回初めて調査範囲に含めたほか、南極側はアルゼンチンから南極の東地域までが調査された。調査では氷河や氷床が解けてできた「池」(melt pond)や氷の分厚さの変化、氷床が解ける夏時期の氷床の移り変わりなどが、重力測量なども交えて行われた。これらの調査で得たデータは、海面上昇や極海の氷の状況が気候や天候にどのような影響を与えるかなどの判断材料となる。 

アイスブリッジの先へ

オペレーション・アイスブリッジは元々、地球観測衛星ICESatの極の氷を観測するミッションを引き継いだもの。同衛星は2003年に打ち上げられ2009年に運用が終わり、この後続機となる衛星ICESat-2は2018年秋に打ち上げられる。先日、NASAは衛星データの分析により年々海面上昇速度が加速していることを発表したが、ICESat-2はこのような研究にもより高精度なデータを提供できるとしている。

今年ICESat-2が打ち上げ予定ではあるものの、オペレーション・アイスブリッジは今年で終了するわけではない。このオペレーションへの予算は2020年まで継続される予定で、数年間ミッション期間が被ることでオペレーション・アイスブリッジからICESat-2へのデータ移行をスムーズに行うことができるとしている。

飛行回数は多くても自慢はできない?

NASAは2017年のミッションの飛行距離について語っているが、フライトによる環境への影響があるため自慢してはいられない。NASA自身、2010年に空港の航空機からの排出の25%は離着陸時の滑走路走行によるものという調査を発表している。The Conversationに寄稿するロジャー・タイヤーズ(Roger Tyers)は、航空機による環境への影響は無視できないものだとしている。それによれば、炭素排出量が全体に占める割合は現在2.5%で、ここままでは2050年には22%まで増えるとしている。

もちろんオペレーション・アイスブリッジのようなデータの収集は気候変動を知るうえで欠かせない重要なものだが、極の氷の調査のために氷がますます解けるような状況にならないことを期待したい。

An Icy Heart(NASA)
NASA’s Longest Running Survey of Ice Shattered Records in 2017(NASA)
Big Year for NASA’s IceBridge in 2017(YouTube)
Flying Is Bad for the Planet. You Can Help Make It Better.(New York Times)
Fuel Consumption and Emissions from Airport Taxi Operations PDF (NASA)
It’s time to wake up to the devastating impact flying has on the environment(The Conversation)

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