イギリス秘密情報部がスパイ募集、ただしジェームズ・ボンドはお断り

最近のスパイ事情はけっこうオシャレで開かれているようだ。

イギリスの秘密情報部(Secret Intelligence Service、以下SIS)が公然と1000人のスパイを募集している。主な任務は国外の政治と経済状況を探って秘密情報を集めること。2016年から募集を開始し、2020年までに歴史上最大の40%人員増加を目指す。

え、スパイ集団なのにそんなにさらけ出しちゃっていいの?とびっくりするほど幅広い採用キャンペーンは新聞の広告欄から始まり、映画館、地下鉄、育児ウェブサイトなど、日常のいたるところで堂々と顔をのぞかせている。

映画館で公開されたSISの広告。 – Credit: Secret Intelligence Service

オシャレすぎるSISの公式ウェブサイトもインパクト大。とても政府機関の(しかも秘密組織の)サイトとは思えない凝った作りで、SIS長官の熱いメッセージがフィーチャーされているほか、SISの沿革、プレスリリース、懇切丁寧な採用サイトまで用意されている念の入れようだ。

Credit: Secret Intelligence Service

SISは1994年までその存在を公式に認められていなかったほど秘密めいた組織だった。採用方法も「肩たたき」と呼ばれ、エリート大学や陸軍士官学校などの閉じた人脈内で隠密にスカウトされてきたそうだ。それが今になってなぜここまでオープンに?

SISが組織を拡大している背景にはテロとサイバー攻撃への対策がある。これらに対抗するために幅広い人材、特に女性や有色人種の採用を進めようとしているが、いざスパイを募集してもジェームズ・ボンド的な候補ばかりが応募してくるのが悩みの種らしいのだ。

いくらタキシードが似合っても、銃の扱いがうまくて戦車を乗りこなせたとしても、現代のSISでは採用の見込みはないようだ。「SISはノリノリのダニエル・クレイグ(6代目ジェームズ・ボンド)みたいな人材を欲しがっていると思われがちだけど、それは全くない」とSISの人事担当者は言い放つ。

最近のSISは根拠なきイラク戦争や、エドワード・スノーデンの暴露などで国民の信頼を失っているのも事実。国民の安全を守ると同時に、どこまで秘密めいたエリート軍団のイメージを払拭できるのか。なかなか映画のようにうまくはいかないようだ。

Secret Intelligence Service

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