100年以上の歴史を持つ組み立て式自動車「キットカー」の世界

キットカーは、その名の通り自ら組み立てる必要のある車だ。だが、自ら組み立てるとは言え、ただ飾るだけのものとは異なり、実際に公道で走らせることが出来る正真正銘の自動車だ。

キットカーの歴史は100年以上に及び、古くは1896年にイギリス人のトーマス・ハイラー・ホワイトが家で組み立てることが可能な車をデザインし、雑誌で掲載したことにまで遡る。しかしキットカーが広まっていったのは1950年代になってから。古くなって捨てられた車の部品を活用して新しい車を作る会社や、車体に使用できる新たな素材としてファイバーグラスが登場したことも、キットカーの広まりに一躍買った。ロータス・カーズ、マーコス、TVRなどのイギリスのスポーツカーメーカーなども、この頃に自動車修理やキットカー製造から始まった会社だ。

50年代に広まった、と言ってもそれは1896年のキットカー誕生と比較してのこと。キットカーが一般的に普及してくるのは1970年代になってからだ。イギリスでは70年代半ばまで、 週末に組み上げれる」とされたロータス・エランのようにほぼ完成状態のものなど、一部のみ購入者が組み立てる必要のあるキットカーが販売された。これは完成された車ではなく、あくまで車の部品として売ることで税金を安く抑えるという意図もあった。

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70年代から今までキットカーの世界でもっとも有名なのはフォルクスワーゲン・ビートルのシャーシだろう。ビートルのシャーシは容易にボディーと分離できたため、ビートルのシャーシに部品はつけたままで、ほぼボディー部分のみを取り付けるだけのキットが流行った。

一概にキットとは言ってもボディーを取り付けるだけのものからフレームまで独自のものもあり、組み立ての複雑さも様々だ。そのため、キットカー1台の組み立てにかかる時間も、100時間から1500時間までと大きな幅がある。自分で頑張って組み立てたとしても、審査を通過したり、車を登録させたりしなければ公道を走れないのは世界中どこでも同じこと。それでもキットカー生誕の地であるイギリスでは世界最大のキットカー・ショー「National Kit Car Show」が毎年開催されるなど、一部の自動車ファンからは深く愛されている。

現在の多くのキットカーは高級車やレアな車を模した、ファイバーグラス製ボディーのレプリカである場合が多い。車好きにとっては、自ら組み上げた車に乗って走るというのは、またとない楽しみだろう。

Kit Car History(Frazer Nash Kit Car Club)

Kit car(Motor Car)

National Kit Car Show

National kitcar show 2017(YouTube)