生存確率5000分の1……子ガメたちの超過酷サバイバル

孵化したばかりのウミガメの赤ちゃんが一心不乱に海を目指す姿は、思わず身を乗り出して応援したくなる健気さだ。過酷な生存競争に身を投じる彼らだが、実は生き残るための“能力”を生まれながらに所持していて、砂浜でのスタートダッシュにもそれが生かされている。

ウミガメは1回におよそ100個の卵を産む。産卵は年に1度ではなく、母ガメは初夏から夏にかけて複数回にわたり卵を産み落とすが、子ガメたちが大人になるまで生き残れる可能性はとても低い。その生存確率は5000分の1と言われるほどの過酷さで、せっかくの卵が全滅してしまうなんて悲劇も少なくない。

産卵後、地中に埋められた卵はおよそ60日で孵化し、タイミングを見計らって1匹が地上に出ようとすると、他の子ガメも目覚めて一気に地上に躍り出る。無防備な子ガメを狙う捕食者は多く、砂浜を走る間にもカニや鳥に襲われ、海に辿り着いたとしても沿岸では多くの魚が子ガメを待ち構えているのだ。そして比較的安全な外洋に出るまでは、常に死と隣り合わせの状況が続く。

とはいえ子ガメたちも、少しでも生き残る可能性を高めるため秘策を備えている。1つは生まれてすぐに訪れる「フレンジー(興奮期)」という状態で、活発化した子ガメは地上に這い出してから砂浜を駆け抜け、そのまま丸一日寝ずに泳ぎ続けることが可能。いわゆる“ロケットスタート”でピンチを切り抜けるというわけだ。

もう1つが腹部に抱えた「卵黄」。この小さな袋はヘソの隙間から消化管に繋がっており、そこから栄養を補給するため10日間ほど何も食べなくても生存可能という、驚きの“携帯食料”である。海中での食事は常に危険がつきまとうため、これも重要な生き残りの術だ。

生存率の低さから、大人になるまでのプロセスはいまだ多くの謎に包まれているウミガメ。ともあれ、いくつもの困難を乗り越えて大海原を雄大な姿で泳ぐウミガメたちには、心から労いの言葉をかけたくなる。本当におつかれさま!

RELATED POST