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ムー大陸伝説はなぜ生まれたのか…一人の作家が広めた姿のない超古代文明

広い太平洋のどこかに存在していたとされる幻の大陸、ムー。人類発祥の地とされ、今よりはるかに高度な文明を持ったナーカル人が5万年前から暮らし、争いも差別もない楽園を民主的に治めたとされる。

不幸にも、ムー大陸は1万2000年前に海底火山の大爆発に巻き込まれて一晩で海の底に沈んだ。船を漕ぎだして命拾いしたナーカル人たちが、やがては海を渡ってエジプトやマヤ文明を築き上げたとされている。

ムー大陸の存在を「発見」したのは19世紀の写真家、オーギュスト・ル・プロンジョン。ユカタン半島から出土したマヤの古文書にムー大陸について書いてあったとされ(後に彼の翻訳はデタラメだったと判明する)、1926年には作家のジェームズ・チャーチワードが独自の解釈を広げて『失われたムー大陸』など一連の書籍を発表し、ムー大陸を伝説に昇華させた。

インターネットはおろか電話やテレビも普及していなかった時代に、謎だらけの超古代文明について生涯をかけて調べ続けたチャーチワードの情熱はどこからきたのだろう。海底に眠る財宝への憧れか、それともチャーチワード自身の本を売るための売名行為か?

もっと深いところには、今の不完全な世の中を憂慮するあまりに、今よりもっとよかった時代があったと言い聞かせる必要があるからではないだろうか。今の人間は本来の姿ではない。失われた大陸は、人間が特別な存在であることを、そして動物から進化していないことを保証しているからこそ、現在にいたるまで小説やゲームの題材として取り上げられ、人々の好奇心を惹きつけてやまないのだろう。

The Lost Continent that Never Existed: Mu (Today I Found Out)

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