人間は少なくともふたつの方法で地球温暖化を加速させているらしい。人間の活動が温室効果ガスを排出しているのが最大の原因だが、どうやら1万2000年前にマンモスを絶滅に追いやったのも仇となっているようだ。
時をさかのぼること4万5000年、アフリカで誕生した人類の祖先は北ルートで中東にわたり、そこから世界各地へと広がっていった。行く先々で動物を狩って生活の糧としたために、マンモスやマストドン、オオナマケモノやケブカサイなど、巨大草食動物の数が激減した。それに相まってヒトがマンモスのすみかや資源を奪ったために、1万2000年頃にはこれらの動物たちすべてが絶滅してしまった。
自然のバランスを崩すといろんな所にほころびが出てきてしまうものだ。最近の研究では、この巨大草食動物たちが「森の管理人」という重要な役割を担っていたことがわかってきている。
長い鼻をのばして高い梢から葉を食べていたマンモスたちのおかげで、林の中には光が射しこみ林床の低木や下草が繁栄した。さらに、マンモスたちの糞は植物の種子を遠くまで運び、新たな森を作った。おかげで他の動植物にとっては住みやすい環境が整えられ、生物多様性につながっていたらしいのだ。
マンモスたちが絶滅してから、森林を切り拓くのは人間の仕事となった。ところが寒冷地帯には人間が定住しなかったために、マンモスたちが管理していた森は荒れる一方に。ツンドラがどんどん深い森に覆われていったのは良いことと思いがちだが、実は森の濃い緑は太陽光を反射する割合を下げ、結果的に地球の大気の温度を上げてしまうそうだ。
もし現代科学の力でマンモスのDNAを培養して復活させることができたら、ツンドラ地帯にマンモスの群れを放して地球温暖化にいくらか歯止めをかけれるのでは、という意見もでている。でも、それはまた別の意味で自然のバランスを崩してしまわないだろうか?