Credit : The Good Food Institute

世界初、培養されたクラゲの細胞でできた革製の本

古めかしい革表紙の本…と思いきや、じつは最先端の細胞農業技術を駆使して実験室で作り出された、世界初の人工天然革製品なのだそうだ。

人工なのに天然とはどういうことだろう?不思議なことに、この本は本物の皮で作られているのに牛や豚を一匹も犠牲にしてはいない。人工的にクラゲの天然のコラーゲンを培養して作ったものなのだ。しかし、見た目も質感も臭いでさえも天然の皮革製品と変わらないらしい。

Credit: The Good Food Institute

この本の装丁を任されたカリフォルニアのGeltorという会社では、もともと遺伝子操作したイースト菌からコラーゲンを生成し、そのコラーゲンから食品や美容製品などの原料となるゼラチンを加工していた。皮革も主にコラーゲンからできていることから新たな事業展開を図り、今回初めて天然皮革を作ることに成功したそうだ。

天然の皮を作るためには、まず遺伝子操作したイースト菌を発酵させてコラーゲンを作らせた。およそ一週間で収穫したコラーゲンをやわらかい無色のシート状に成型し、その後従来の天然皮革と同じようになめして仕上げたそうだ。今回は手触りの良さからクラゲのコラーゲンを使ったが、Geltorではほかにもいろいろな種類のコラーゲンを試しているそうで、なんと1万年前に絶滅したマストドンのコラーゲンの培養にも成功しているそうだ。

Credit: The Good Food Institute

さて、気になる本の中身だが、ポール・シャピロ著『Clean Meat: How Growing Meat Without Animals will Revolutionize Dinner and the World(直訳:純粋培養肉が世界の食卓に革命をもたらす)』のサイン入り初版本で、皮革もふくめ、従来動物を殺して手に入れてきた食物や材料をいかに人の手で培養して収穫できるかの手引きとなっている。

Geltor社はシャピロ氏に無料で本の装丁を提供し、シャピロ氏はこの本を細胞農業技術のシンクタンクである「The Good Food Institute」に寄付したそうだ。本は米オークションサイトeBayにて10,000ドルから競売にかけられ、1月22日には最終価格12,790ドル(約140万円)で落札された。

The Good Food Instituteは今後オークションで得た収益を更なる純粋培養肉の研究と開発のために使うそうで、シャピロ氏の本自体は博物館に寄贈される予定だという。

This Book Is Bound in Lab-Grown Jellyfish Leather (The Smithsonian)

World’s First-Ever Clean-Leather-Bound Book! (The Good Food Institute)

World’s First Animal-Free Leather-Bound Book on eBay for $10,000 (Newsweek)

San Leandro lab’s secret foray yields animal-free leather (San Francisco Chronicle)

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