【現地取材】世界中の家電と自動車の最新トレンドが一堂に会する「CES2018」で今年の潮流を占う

毎年新年に、アメリカのラスベガスで開催されている恒例のビッグイベントがある。コンシューマーエレクトロニクスショー、通称CESだ。その名の通り、消費者向け家電製品の展示会であり、世界最大のアメリカ市場へのお披露目の場である。そのため、おもにテレビ関連製品や家庭用ゲーム機などの世界デビューの場として注目を集めてきた。

そのCESは、この数年でショーの性格を変化させつつある。理由は、電化が進む自動車の最先端の取り組みをアピールする場として、世界中の自動車メーカーがCESに目を付けたためだ。いまやショーの3分の1ほどを自動車関連のブースが占めるようになっている。

世界中の家電と自動車の最新トレンドが一堂に会した2018年のCESから、今年のトピックスを紹介しよう。

◆液晶の次の世代。有機ELがついにブレークへ

液晶の”次”のディスプレイ技術として注目されてきた有機ELディスプレイ。液晶のようにバックライトを必要とせず、自らが発光する素材によって構成されるため、色の階調やダイナミックレンジが広いこと、ディスプレイ本体を極限まで薄くできること、ディスプレイを曲げられることなど、多くのメリットがある。いっぽうで、これまで市販はされてきたものの、価格が高く、まだまだ高級品というイメージだった。

それがこの1年でかなり価格がさがり、普及価格帯までになった。50〜60インチの家庭用テレビ製品で30万円前後で買えるようになったのだ。2018年は有機ELテレビがブレークするとみられている。

有機ELテレビは各メーカーから製品化されているが、有機ELパネルそのものは、韓国のLGエレクトロニクスが独占的に製造している。そのLGの有機ELパネル展示が、CESのなかでも最も注目を集めていたブースだ。

薄型で曲げ加工が可能な特徴を活かした有機ELの”トンネル”は、関係者の間でも評判になっていた。その表現力の高さと相まって、有機ELの提供するユーザー体験をいかんなくアピールしていた。

◆自動車メーカーからモビリティカンパニーへ。トヨタの新たな挑戦

今年のトヨタはCES2018を特別な場と捉えていたようだ。プレスカンファレンスでは、豊田章男社長みずから登壇し、自動車メーカーからモビリティカンパニーへの進化をアピールした。

モビリティカンパニーとしてのトヨタを端的に示すのが、今回発表された「eパレット・コンセプト」である。人の移動や物流など、多目的に活用できるモビリティサービス専用の電気自動車だ。

注目されるのは、eパレットの活用方法をトヨタとともに検討していくアライアンスパートナーの存在。そのリストには、アマゾンやUber、滴滴出行など、物流やライドシェアの世界的なトップ企業が並ぶ。ことUberに関しては、従前の”クルマを作って売る”自動車メーカーのビジネスモデルに対するディスラプターの代名詞ともいえる存在だが、トヨタはそのUberと組んで、ライドシェアの実証実験をするというのだ。

これはつまり、トヨタの強い決意の現れと見るべきだろう。ライドシェア業者が使いやすいハードウェア、ソフトウェア、クラウドとはどのようなものか。それらが一体となったプラットフォームとは。トヨタは本気でプラットフォーマーになるつもりだ。

◆ラスベガスの街を埋め尽くす”Hey Google”

CES2018で一番の話題といえば、本気になったGoogleだと誰もが口をそろえるだろう。音声対話アシスタント「Googleアシスタント」をプッシュしたいGoogleは、ラスベガス中を”HeyGoogle”のロゴで埋め尽くしたのだ。

これには伏線がある。1年前のCES2017において話題をさらったのは、Amazonの音声対話アシスタントAmazonAlexaだった。それまで様子見の構えを崩さなかったように見えたGoogleは、CES2017でのAlexa旋風に焦ったのか、Googleアシスタント対応のホームスピーカーやスマート家電を2017年中に立て続けに発表した。

そして迎えたCES2018では、昨年までのそっけなさがウソのようになりふり構わぬ大量の広告露出を展開し、Alexaを追撃すべく猛ダッシュを開始したのだ。

なぜそこまでGoogleが目の色を変えるのか。それは、彼らのビジネスモデルを考えると分かりやすい。Googleはご存知の通り、Web検索という行為から、一定の割合の見込み客を送客する広告モデルを展開している。このビジネスモデルが成立する前提は、Web検索で彼らの検索エンジンにキーワードを入力するという条件である。

Googleの検索エンジンは優れた性能を持っているからこそ、多くの人々が検索ボックスにキーワードを入力し、検索している。だが、これが音声に置き換わってしまったらどうだろうか。音声対話エージェントのデファクトの地位をAlexaに奪われてしまったら、見込み客もAmazonに奪われることになる。Googleの収益の源泉が大きく毀損してしまうのだ。

このようなシナリオに、あまり現実味を感じないという読者もいるだろう。しかし、10-20代の若者世代は、キーワード入力より音声入力を好んで使う、という調査結果を知ったらどうだろうか。Googleの焦りが少しは理解できるはずだ。

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