化学兵器を使う征服者、最強のアルゼンチンアリに立ち向かう方法を研究者が発見したかもしれない。
南アメリカからやってきたアルゼンチンアリ。彼らはすでに6つの大陸や日本を含む島々に侵略してきている手強い相手だ。アルゼンチンアリはとても攻撃的なだけでなく、コロニーには複数の女王を持つうえに、環境への適応性が高く、そのうえ化学兵器まで持っているのだ。
アルゼンチンアリは、腹部からの化学物質で互いにコミュニケーションをとる。だがこれは攻撃の際には化学兵器となるのだ。カリフォルニア大学の研究では、攻撃の際にアルゼンチンアリは相手の体に腹の先を付けてこの化学物質を付着させていることが確認された(トップ画像はアルゼンチンアリが他のアリに頭に化学物質をつけるところ)。
この化学物質は、相手を刺激すると共に混乱させる。この刺激と混乱の度合いは高く、攻撃されたアリは化学物質を取ろうとするかのように身繕いを始め、大顎を強く閉じる。中にはひっくり返って一時的に動けなくなるものもいるようだ。攻撃されたアリがまるで催涙ガスをかけられた人間にも思えてくる。
だがこの化学兵器の効果はそれだけではない。腹から出す化学物質は近くに居る仲間のアルゼンチンアリをもっと呼び寄せる役割も果たすのだ。相手を行動不能にして仲間をもっと呼び寄せる、なんとも強力な化学兵器だ。
なお研究では、このアルゼンチンアリの化学兵器を利用して、他の虫を寄せ付けない忌避剤としての利用が提案されている。そんなことしたらもっとアルゼンチンアリが寄ってきてしまうかもしれないって?ご心配なく。もう一つの使い方として、他の原住のアリには影響を出さないままアルゼンチンアリだけをおびき寄せて殲滅させる方法も考えられている。
最強かに思われたアルゼンチンアリご自慢の化学兵器を逆手にとってやっつけるなんて、なんだか映画のシナリオみたいだ。