Credit : ©2018 XPRIZE Foundation

終了宣言した民間月面探査レース「Lunar Xprize」とはなんだったのか…プロジェクトを振り返る

Googleがスポンサーとなり、Xprize財団が多額の優勝賞金を掲げて世界初の民間月面無人探査を目指した「Lunar Xprize」プロジェクトが、勝者不在のまま終わりを迎えようとしている。その始まりはもうかれこれ10年少し前の事だった。

2007年に始まったLunar Xprize。最終的な目標は、無人の月面探査ローバーを月へと送り込み、着地地点から500m以上移動、高解像度の画像と動画を地球へと送信すること。これを最初に成し遂げたチームに2000万ドル(約22億円)がでるはずだった。当初の予定では5年以内の目標達成を目指し、締め切りは2012年までとされていた。しかしどのチームもこれには間に合いそうにないので、締め切りは2014年、2016年、2017年…と伸びに伸び、最終的には2018年3月まで締め切りが延長されたのだ。プロジェクトには様々な国からなる16のチームが参加していたが、そうしているあいだにもチームはどんどんふるいにかけられ、最終的には日本のHAKUTOを含め5チームのみが最終フェーズまで残った。だが目標日程が当初の予定から5年延長されてなお、民間月面着陸の夢はそう簡単に実現できるものではなかったようだ。

(マイルストーン賞を紹介するLunar Xprizeの動画)

2000万ドルの優勝賞金が誰の手にも渡らない、とだけ聞くと、まるでこのプロジェクトは馬の前ににんじんをぶら下げて、だれもそれを口にする事ができないまま走らされている様子が頭に浮かぶかもしれない。だが実際にはこのプロジェクトには「Milestone Prize」(マイルストーン賞)というものが存在している。これは、着陸、機動性、イメージング、の各分野でのマイルストーンを達成した3チームに送られる賞金付きのもので、賞金は一チームあたり分野別に100万、50万、250万ドル。日本のHAKUTOはこのうち機動性部門でマイルストーン賞を受賞、50万ドルの賞金を手にしている。なお、3部門全てで受賞しているのはアメリカのAstroboticのみだった。

去る12月には日本のHAKUTOが、参加チーム中最も大きな金額である902万ドルをシリーズAラウンドで集め、Lunar Xprizeのニュースページで紹介されていたばかりだった。またそんな矢先の1月23日に発表されたのが、冒頭にもお伝えしたこのプロジェクトの終了である。

Xprizeは現在この先を模索中だが、今後Google以外の冠スポンサーを探す可能性や、賞金抜きでレースを続ける可能性もあるとしている。結局だれも期間内に目標達成することはできなかったが、Xprizeはこれまでの10年間は意味のあるものだったとしている。参加チームは自ら資金を集めたし、インド、マレーシア、イスラエル、ハンガリーでは初の商用宇宙企業が生まれた。雇用や教育にも意義あるものだったし、アメリカでは参加チームが民営宇宙船としては初めて米政府から地球から月へのミッションの許可を得ることができた。このLunar Xprizeプロジェクトを題材としたウェブシリーズとしても、アカデミー賞受賞(『ホワイト・ヘルメット -シリアの民間防衛隊-』)経験もあるオーランド・ヴォン・アインシーデ監督に、J・J・エイブラムス(『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』、2009年の『スター・トレック』などの監督)を総合プロデューサーとする9話からなるドキュメンタリー『Moon Shot』も製作されている。

この『Moon Shot』の予告編では「月に行くというのはただの象徴。重要なのは何が可能かを見せることだ」と語られているが、今後Lunar Xprizeの意思を引き継ぎ月面無人探査を実現してくれる民間チームがでてくれることに期待したい。

月は遠かった… 世界初の月面探査レース 勝者なく終了へ(NHK)

WHAT IS THE GOOGLE LUNAR XPRIZE?(Xprize)

Mission(Hakuto)

$6 Million Milestone Prize Awards | Google Lunar XPRIZE(YouTube)

Moon Shot | Official Trailer | Google Lunar XPRIZE(YouTube)

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