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環境にやさしいデニムの染料、鍵は大腸菌

世界中で愛されるブルージーンズ。年間40億点以上のデニム衣類が製造されているそうだが、そのほとんどは合成インディゴ染料を使っている。触媒などに大量の化学薬品を必要とするため、生産地では深刻な水質汚染につながっているという。

そこで、より環境にやさしいデニムを作るために、カリフォルニア大学バークレー校のDueberラボでは大腸菌を使って自然に近いインディゴ染料を開発している。

もともとこの研究は「生物学版ロボコン」ともいわれるアイジェム(International Genetically Engineered Machines)国際コンペティションに出展され、2013年の学部生部門で優勝を果たした期待のプロジェクト。アイジェムの趣旨は生物を合成して有機的な「ロボット」を作り出すことなのだが、Dueber教授率いる研究チームは大腸菌をインディゴ製造ロボットに見立てているところが斬新だ。

Dueber教授らはまず藍の植物がどのようにインディゴ染料を作り出すかに注目した。藍の葉は「インディカン(indican)」と呼ばれる無色のインディゴの前駆物質を蓄えているが、通常はブドウ糖の「入れもの」に納められている。藍の葉が傷つけられてその入れものが壊れると、中から解放されたインディカンが化学反応を起こし、深い青色のインディゴに変わる。

Dueberラボはこの「入れもの」を作りだす植物の酵素を特定し、その遺伝子情報を大腸菌E. Coliに注入した。さらにE. Coliの遺伝子をいくつか変えたうえで、大腸菌にインディカンを作らせることに成功した。

しかし、インディカンを作り出すだけでは藍色は生まれない。さらに別の酵素と化学反応させる必要があるのだが、いまのところこの酵素の原価が高く、実用化のハードルとなっている。年間使用量が5万トンともいわれる合成インディゴをすっかり入れ替えるにはまだまだ研究の余地があるが、小規模製造業などでの活用を数年内に目指すという。

そこまでしてインディゴで染めなくても…と思われるかもしれない。確かに、処置が何工程にもおよび、水質汚染の原因になるインディゴはあまりよい染料ではないかもしれない。さらにインディゴは水に溶けない性質なので、繊維の内部まで浸透して染め上げられないそうだ。

しかし浸透しないからこそ、使いこなすほどに青く染まった外層がはがれて落ち、繊維の白い芯がむき出しになる。着こなすほどにこなれてくる色合い――これゆえに、人間は数千年も前からインディゴを愛してやまないのだ。

Employing a biochemical protecting group for a sustainable indigo dyeing strategy (Nature Chemical Biology)

Chemists go green to make better blue jeans (Nature Editorial)

Greener Blue Jeans (Berkeley Research)

Have Scientists Found a Greener Way to Make Blue Jeans? (Smithsonian)

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