絶滅危惧種の野生猫などを救うには多面的アプローチが不可欠…研究者らが提言

より効果的に小型・中型肉食動物を保護するためには、生態学と社会学どちらの観点からもデータを収集し、ひとつの枠組みのなかで野生動物を脅かす様々な要因に優先度をつけて最善の解決策を導き出す必要があるようだ。

チリの研究者たちがJournal of Applied Ecologyの最新号にて発表した研究では、グイーニャ(Güiña、学名Leopardus guigna)と呼ばれるネコ科の動物を対象にフィールドワークを行った。グイーニャは南米チリの中部から南部にかけての温帯林にしか生息しない、飼い猫のおよそ半分ぐらいの体長の小さな野生の猫だ。いまでは1万頭にまで減ってしまっており、国際自然保護連合(IUCN)が絶滅危惧II類に分類している。

グイーニャが減ってしまった最大の理由は、深刻な森林伐採によりすみかを奪われたせいだと考えられてきた。過去25年間でチリの温帯林のじつに三分の二以上が失われたという。

ところが研究者たちが衛星写真や森にしかけたカメラなどの映像から分析した結果、グイーニャは森林減少などの環境変化にも順応性が高いことがわかった。新しく開拓された松やユーカリの農園付近に生息するケースも見られた。

グイーニャはもともとネズミや小鳥、トカゲなどを狩って生きている。狩るためには体を隠す下草や低木層が欠かせない。グイーニャにとってこの最低限の条件さえ整っていれば、温帯林に限らず様々な環境に適応して生存していけることが解明された。

さらに、グイーニャの減少は人による直接的な被害も大きいと考えられていたが、研究者たちが住民にアンケートを取ったところ、家畜(鶏)を狙われた報復のためにグイーニャを殺してしまった例は案外少なく、また交通事故や飼い犬などの被害に遭った例も多くはなかった。

ではグイーニャを脅かす最大の理由はなにか。それは土地の断片化だそうだ。森を焼きはらって大きな農園を開墾すると、その農園の土地すべてを耕さず、作付けしない畑もでてくる。そういう避難場所さえ確保されていれば、グイーニャは生き残れるそうだ。

ところが遺産相続などにより大きな農園が分割されはじめると、小さくなった土地に頼る頻度が上がりグイーニャが逃げ込める場所がなくなってしまう。このように、直接的な人間の被害よりも、まずは土地の分割化に歯止めをかけることがグイーニャの生存を助けるためにより効果的だとわかったそうだ。

この研究成果はグイーニャだけでなく、ほかの小型・中型肉食動物の保護についても有効な手がかりとなりそうだ。

A spatially integrated framework for assessing socioecological drivers of carnivore decline (Journal of Applied Ecology)

Hope for threatened ‘little tiger cat’ (BBC)

Leopardus guigna (IUCN Red List)

Leopardus guigna (iNaturalist)