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巨大隕石による人類滅亡は「今のところ」心配なし

地球に危機をもたらす隕石を観測するプログラムはあるが、人類には未だ隕石に対処する手段を持たない。だが、巨大隕石衝突の危機に備える必要があるのかと問われると、今のところはそうでもないようだ。

今月はじめ、トラックほどの大きさの隕石が地球のすぐ側を通過した(「すぐ側」、と言っても180万km離れたところだが)。だが人類がその接近に気づいたのは隕石通過のたった6日前。少し時を遡れば、2013年にはロシアのチェリャビンスクに隕石が落下したのも記憶に新しい。秒速20kmで飛ぶ20メートルほどの大きさのこの隕石は空中で激しい光と共に爆発した。数々のドライブレコーダーでも捉えられた映像は人々の記憶にも新しいだろう。

TNT爆薬に換算すると50万トンの力を持った爆発であり、超音速で飛んできたためのソニック・ブームと相まってけが人は1200人以上となった。それでもこの隕石飛来事件をより恐ろしく感じさせるのは、この隕石の存在を我々が事前に感知できなかったことではないだろうか(そのため当初これがミサイルかと思われたこともあったほどだ)。

恐竜絶滅の原因は巨大隕石ではないかともされるなかで、人類がそのような巨大な隕石の落下に備える必要はあるだろうか?The Conversationで惑星科学と宇宙科学のMonica Grady教授が言うには、少なくとも隕石で人類が絶滅するなんてことは「今のところは」心配しなくてもいいという。

毎年5万トンもの宇宙物質が地球に当たるものの、そのほとんどは半ミリ以下の塵となってしまっている。20mほどの隕石ならばチェリャビンスクのケースのように上空で爆発する可能性が最も高く、クレーターを作るようなものは50m以上の隕石でないといけない。2,3kmの大きさの隕石だって米アリゾナ州のバリンジャー・クレーター(直径約1.35km)ほどのクレーターは作るであろうし、きっと落下地点は目も当てられないことになるだろうが、世界規模の絶滅的な状況はこれで発生することはない。

世界的な観測プログラム「CNEOS」というものが存在する。これは「Center for NEO Studies」の略であり、「NEO」は「Near-Earth Object/地球近傍天体」を意味する。NEOは、太陽に対し1.3天文単位以下の近さの天体のことで、このプログラムでは自動化された望遠鏡でNEOをマッピングしている。中でも直径150mを超すNEOで地球の軌道と交わる軌道を持つものは「PHO」(Potentially Hazardous Objects、潜在的に危険な小惑星)とされ、特に注意が払われている。

しかし嬉しいことにCNEOSで見つかっている小惑星はほぼ全て安定した軌道にある上に、危険はないとされている。それでもチェリャビンスクの例のように、この監視の目をかいくぐって地球に到達するものがあるのも確かだ。チェリャビンスクの場合、その理由はこれが太陽の方向から大気に対しとても低い確度で入ってきたから事前に発見できなかったとされている。しかしGrady教授によれば、それ以上に我々が観測を始めたのはここ10年程度とまだそこまで時間が経っていないのに対して、このような小惑星の数が圧倒的に多いことがあるという。

Credit: The Minor Planet Center

こちらはThe Minor Planet CenterによるNEOの図。中央が太陽で、水色の線が水、金、地、火星それぞれの軌道。赤い点がNEOだ。これだけ見つけるのも大変だったろうが、まだ見つけ逃しているのがある可能性にもうなずける。

それでも、たとえ地球とぶつかるNEOが見つかったとしても、未だそれを映画『アルマゲドン』みたく破壊する技術はない。それでも人類は巨大隕石が衝突する日が来るのを指をくわえて待っているだけではない。NASAは現在「DART」(Double Asteroid Redirection Testの略、ダブル小惑星方向転換試験)という試験を計画中だ。これは未だデザイン段階ではあるものの、1.5mほどの大きさの宇宙船を小惑星にぶつけて軌道を変える試み。想定されている内容では、太陽を周回するDidymos Aと呼ばれる小惑星の周りを周回する、約140mの大きさを持つ小惑星Didymos Bにこの宇宙船をぶつけることで、Didymos Aの軌道はそのままにDidymos Bの軌道を変えるというもの。DARTは計画では2020年に打ち上げ、2022年10月にDidymosとご対面する予定である。

小さな小惑星が一部地域に危険をもたらす可能性はあるが、Grady教授によると「今のところは」巨大隕石による人類滅亡に備える地下シェルターも必要はないようだ。

A huge asteroid wiped out the dinosaurs, but what danger do smaller ones pose?(The Conversation)

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