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脳は体型を正しく評価できない

西オーストラリア大学の心理科学者チームが発表した研究によれば、人は自分や他人の体型を認識する際、それ以前に見た体型につられて偏った判断を下す傾向にあるそうだ。

言いかえれば、人の認知能力には限りがあり、自分や他人のことを正しく認識できないバイアスがかかっているという。そのひとつである「遂次バイアス」が体型の認知にも作用することを今回の実験が証明した。

実験では103名の女性にやせ型から肥満型までのさまざまな体型をした女性の画像を見てもらい、その太り具合を「ボディーライン」と呼ばれる線上にマークすることで7段階評価してもらった。この評価の方法自体に大きな混乱はなく、被験者にとってはむしろ自然で直感的だったという。

ところが結果を見てみると、被験者が下した評価には以前の評価につられる系統的なバイアスがかかっていることが判明した。ひとつ前に評価した体型が小さかった場合は評価も小さくなった。反対に、ひとつ前に評価した体型が大きかった場合は評価も大きくなったそうだ。

この遂次バイアスはほかの視覚的な認知プロセスにも作用することが知られており、これまでに方向、大きな数、性別、顔、顔の魅力度などにも影響することが証明されている。例えば、2016年にカリフォルニア大学バークレー校で行なわれた研究では、イラストで示された他人の顔がどのぐらい魅力的かを被験者に評価してもらい、6秒前までさかのぼって見た顔の評価にひっぱられる結果が出たそうだ。

人の体型の評価をゆがめるのは遂次バイアスだけではない。「順応バイアス」と言い、長い期間に渡って同じ人と一緒にいることでその人の体型に慣れてしまい、その体型につられて自分や他人の体型を評価してしまう傾向があるそうだ。身近にいる人がやせていれば、ふつうの体型の人も太ってみえてしまう。また逆に、太っている人に慣れていればふつうの体型の人もやせて見えるそうだ。

これは人間の脳が長期間蓄積したデータを平均化するクセがあるためだ。そのため、特に体型や体重を気にする傾向が強い女性においては、やせすぎた人の体重を過大評価し、太りすぎた人の体重を過小評価するそうだ。

このようなバイアスのせいで自分の体型を正しく認識できないと、せっかくダイエットしようと思っても失敗に終わってしまうばかりか、深刻な摂食障害につながる危険性もある。拒食症や過食症などは、自分の体型を正しく評価することができないために、極度な減量を試みたり食べることを拒否する心の病気にも発展しかねず、大変危険だ。

ダイエットしたいと思う人がいたら、まずは体重やBMI数値といった客観的な評価で自分の体型を正しく認識することから始めたい。家族や近しい友人として、体型には表れないその人の内面を言葉で肯定することも大事だが、もし極度の肥満や痩躯に気づいたらメンタルケアの専門家に援助を求めることも重要だ。

The brain might trick most people into thinking they’re thinner than they actually are (ZME Science)
Past visual experiences weigh in on body size estimation (Scientific Reports)
Serial dependence in the perception of attractiveness (Journal of Vision)

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