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水は-42℃まで氷にならずに冷やせる

ヨーロッパ連合の科学者チームと、スウェーデン・韓国・日本の科学者チームがほぼ同時期にそれぞれ水を凍らせないまま冷やす実験を行った結果、-42℃近くまで温度を下げても凍らないことを確認したそうだ。これは今まで記録された中では一番低い温度だという。

水(H²O)はこの地球上でもっともありふれた液体でありながら、じつは特異な性質をたくさん持っている。例えば、ほかの液体なら凍るとちぢむが、水は大きくなる。ほかの液体であれば個体は液体よりも重くなるが、氷は水よりも軽くなる。この水の性質のおかげで、冬の湖の表面が氷に覆われてもその下に0℃よりもあたたかい水が沈みこみ、水生生物が生きのびられるのだ。

小学校で水は0℃で凍ると習ったがこれにも例外があるらしい。気圧が低ければ氷点も低くなるし、特別な環境下で急激に冷やすと氷点がさらに低くなるのだそうだ。実際、地球の大気圏には-35℃まで冷やされても凍らない水の粒が存在するそうだ。このように氷点以下まで温度を下げても凍らない状態を「過冷却(supercool)」という。今までの実験により、水は-40℃以下まで過冷却できることがわかっていた。そして水にとっては-45℃が特異点であることが数学的に導き出されていた。

今回の研究はこの特異点に限りなく近づいたそうだ。どちらの研究でも真空の空間に細かい水の粒子を飛ばし、空気圧を下げて水の表面を気化することで粒子の温度を急激に下げた。粒子が小さければ小さいほど、温度の低下が顕著になる。それらの粒子の温度を測るのも一筋縄ではいかず、レーザー光線をあてて粒子の直径がどれぐらいちぢんだかを測り、数学的に温度を計算したそうだ。化学、物理学、数学的叡智の見事な融合といったところか。

その結果、水の粒は最低-42.55℃まで冷やしても凍らないことが確認された。さらに、ふたつめのチームに所属するストックホルム大学のAnders Nilsson教授らは、極度に冷やされた液体の水にはとても不思議な性質があることを認めたという。

水は-45℃に近づくにつれて異なる密度を持った別々の液体に分離し、ふたつの状態間を行き来する頻度が高くなる。つまり、ストックホルム大学のLars G.M. Petterssonいわく、「水とはふたつの違う性質を持った液体が合わさってできており、水自体は複雑な構成ではないが、このふたつの異なる液体同士の複雑な関係から成り立っている」と考えられるそうだ。

もしこの仮説が正しければ、水が持つ特異な性質がすべて説明できるという。今後の研究で水を-45℃まで冷やすことに成功すれば、その時水がどのように変化するのかとても興味深い。

Shrinking of Rapidly Evaporating Water Microdroplets Reveals their Extreme Supercooling (Physical Review Letters)
Synopsis: The Coldest Water (American Physical Society)
Water Exists as Two Different Liquids (Stockholm University)
Scientists Make Coldest Liquid Water Ever, And It’s Weirder Than They Imagined (Gizmodo AU)

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