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より安全な人とのコラボレーションを可能にする「やわらかロボット」たち

ロボットというと、鋼鉄、または合金に覆われている機械的なイメージを連想する。それが工業用のロボットであればなおさらだ。製造業などで重宝される作業用ロボットは、人間の何倍もの力で物を持ち上げ、運び、つぶし、かきまわし、接合することができる。重い積荷に耐えうるには、どうしても大きく、重たく、衝撃に強い硬さが必要となってくる。しかし、その無骨なデザインゆえに悲劇を生むこともしばしばだ。

2015年には、ドイツの自動車工場で男性従業員がロボットアームの操作を誤って挟まれてしまい死亡する事故が起きている。このような事故を防ぐために、多くの工場では人間とロボットとの間に間仕切りを設けているそうだ。

ところがこれでは人間とロボットが直接連携して仕事に取り組めず、生産性が上がらない。どうやったら工業用ロボットのパワーと、人間の頭脳とをうまく組み合わせて、安全かつ快適な環境で仕事の効率を向上させられるか?そこに登場するのがまったく新しいタイプの「やわらかいロボット」たちだ。

「Soft robotics(やわらかいロボット)」は現在急成長しているロボット研究の分野だ。イメージとしては2014年のディズニー映画『ベイマックス』に登場する、空気圧で伸縮する筋力を持ったぷよぷよしたロボットなのだが、現段階ではまだロボットをまるまるひとつ製作するまでには至っていない。

ロボットの重要な要素である人工筋肉を共同開発したのは、以前こちらでもご紹介した米マサチューセッツ工科大学とハーバード大学だ。折り紙にインスパイアされたというその人工筋肉は、自重の1,000倍もの重さのものを持ち上げられるとしている。折り紙のように折り目のついた「骨格」とプラスチック製で柔軟性のある「皮膚」によって構成され、やわらかい素材でできているために人や物にぶつかっても安全性が高いという。

また、英サルフォード大学では骨格も含めてやわらかい素材のみで構成されているロボットアームを開発中だ。こちらは空気圧の加減で自由自在に動かすことができ、自重の5倍の重さのものを持ち上げられるそうだ。製造工場で作業中に、万が一このようなロボットアームに人間が接触したとしても、素材がやわらかいので受ける衝撃も少ないという。

最後に、工場ロボット…というわけではないのだが、不思議なやわらかロボットも開発されているという。全身シリコンで作られた直径7センチほどのタコ型ロボットだ。このロボットには電池もCPUも搭載されていないが、あらかじめプログラムされているとおりに8本の足を上げ下げしながらタコ踊りを行う。動作の秘訣は空気圧。中心部分からガスを流すことで、足の動きをコントロールしているのだ。

実用までほど遠い段階ではあるが、将来的にこのようなやわらかいロボットが災害時の人命救助活動や手術に役立つかもしれない。そしていままでのように硬く重たいロボットとは想像もつかなかったような人間とのコラボレーションも可能になっていきそうだ。

Soft robots could be the factory workers of the future (The Conversation)
Robot kills factory worker after picking him up and crushing him against a metal plate at Volkswagen plant in Germany (Daily Mail)
米ハーバード大とMIT、折り紙にインスパイアされた人工筋肉を開発(ディスカバリーチャンネル)
Autonomous Systems and Robotics Research Centre (University of Salford)
Pneumatic octopus is first soft, solo robot (BBC)

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