まさに鬼畜! 遺体の腐敗を進ませるためエアコンの温度を上げた殺人犯、実は定職・妻子持ちの模範的市民

1992年5月7日、アメリカ・ミズーリ州でローラ・ウィンという女性が自宅の寝室で変死体となって発見された。片足だけ脱がされたパンティストッキングが巻きつけられた首、そして臀部と太もものアザは、彼女が性的暴行を受けたことを物語っていた。まだ31歳だった。

警察による検死の結果、ローラの死因は絞殺と判明。さらに右耳の後ろを負傷しており、頸部も数カ所骨折していたことや、傷の大きさから、犯人が鈍器のようなもので彼女の頭を殴りつけたと推測された。また、局部にはひどい打撲痕と多数の擦り傷も確認された。現場にはシーツやティッシュが残されていたものの、犯人の血液や指紋はいっさい検出されなかった。警察はローラの交友関係を中心に捜査を行うも、こちらもめぼしい成果を得ることはできず、事件は迷宮入りしてしまう。

事件発生から時計の針は何万回も回り、すでに2005年になっていた。事件を担当していたデービス捜査は解決のヒントを過去の捜査資料に求め、やがてローラが殺害される前に最後に訪れたバーの女性従業員の証言に目を止める。元軍人のサミュエル・フリーマンという男がローラを口説こうとしたものの相手にされなかった、というものだ。しかもその後、ローラと口論を繰り広げていたという証言も得られた。

しかし、何よりも捜査員の目を引いたのは「サミュエルは自分の飲み干したガリアーノというリキュールの空き瓶を持ち帰っていた」というものだった。実は、サミュエルは13年前の捜査で事情聴取を受けており、そのとき「ローラと会話した」とは認めているものの、「周りが振り返るほど言い争っていた」というバーテンダーの証言とは明らかに食い違っていた。

デービス捜査官が再びバーテンダーの女性に事情聴取を行うと、事件から数年後にサミュエルが再びバーを訪れた時のことを話し始めた。「彼は事件の夜とまったく同じように、ビールとガリアーノを注文しました。そしてジュークボックスで『オンリー・ユー・ノウ・アンド・アイ・ノウ(君と僕だけが知っている)』を選曲してから、私(バーテンダー)の体を舐め回すように見てきた」というのである。

この証言だけではサミュエルをしょっぴくことはできなかったが、捜査官たちは彼の職場を訪れて“再捜査への協力”を要請。警察署に来たサミュエルは明らかに狼狽しており、証言こそしなかったものの捜査には協力的だった。そこで新たに採取したサミュエルのDNAと、証拠品のストッキングに付着したDNAを比較すると、見事に一致。92年の事件当時とは比較にならないほど精度が上がったDNA鑑定技術によって、ようやく犯人を逮捕することができたのだ。

また警察はサミュエルの家宅を捜索し、ガリアーノの細長いボトルを押収した。自供によると、ローラに振られて逆上した彼は空き瓶を持ってバーを出ると、ローラを自宅前で待ち伏せし、帰宅した彼女の後頭部を空き瓶で殴打。そのままベッドまで引きずっていき性的暴行を加えると、最終的にストッキングで絞殺したのだ。しかも現場の指紋を全て拭き取ったうえ、捜査を撹乱するべくエアコンの温度を上げて遺体の腐敗を促進させようとしていたというから、もはや鬼畜の所業である。

しかし、そこまで証拠隠滅を図っておいて、なぜ凶器となったボトルは処分しなかったのか? なぜ数年後に再びバーに行き、思わせぶりな態度をとったのか? ……おそらくサミュエルは「弱者を壊す全能感」という麻薬に支配されたのだろう。逮捕されるまでの13年間、サミュエルは善良な市民として何食わぬ顔で生活していた。彼には定職があり、妻も子どももいた。市議会議員に立候補しようとしたことすらあったほど、模範的な市民を演じていた。そして、その裏では殺害に使用した凶器をトロフィーのようにコレクションし、さらにバーテンダーの女性に自らの暴力性をちらつかせて楽しんでいたのだ。

サミュエルは裁判の結果、仮釈放なしの終身刑となった。罪なき人々の人生を狂わせた男の当然の報いと言えるだろう。

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