Credit : The Scripps Research Institute

生命誕生の謎がわかってきた?魔法の杖のような化学物質とは

生命はどのように誕生したのか?この問いに対して、人類は古代ギリシャ時代から様々な可能性を議論してきた。神によって創り出されたとする説、化学反応により無生物質から発祥したとする説、宇宙から飛来したとする説などいろいろあるようだが、最近になってカリフォルニアの科学者たちが化学反応説を支持する有力な研究成果を発表した。

サンディエゴのスクリプス研究所に所属するラーマナラヤナン・クリシュナムルティ博士はかねてから「ディアミドリン酸(diamidophosphate)」に注目していたが、最新の研究でこの化学物質が生命に必要な部品の3種類すべてを作りだせることを証明したそうだ。

生命が誕生したといわれる40億年前の原始の海には、細胞を形成するために必要な「材料」がたくさん蓄えられていたと考えられている。これらはさしずめバラバラな紙や、歯車や、糸のようなもので、それらの材料をつなぎ合わせて細胞形成に必要な台帳(遺伝子情報)、エンジン(代謝運動)と、服(細胞を覆う膜)に仕立て上げるには「リン酸化反応(phosphorylation)」が欠かせなかったといわれている。

この場合の紙はヌクレオチド、歯車はアミノ酸、そして糸はグリセリン脂肪酸である。そして台帳はヌクレオチドが集まってできたオリゴヌクレオチド、エンジンはアミノ酸が集まってできたオリゴペプチド、服はグリセリン脂肪酸が集まってできた脂質の膜を指す。

ところが、これらの3つの材料をリン酸化反応させて台帳とエンジンと服とに変えるには、いままで別々の化学物質が候補に挙げられていたそうだ。しかも、それぞれの化学物質は非常に高温であったり、そうでもなかったりと、異なった環境下においてのみリン酸化反応を起こすと考えられたため、原始の海でスムーズに生命の誕生を促したか疑問視されていたのだ。

今回クリシュナムルティ博士率いる優秀な研究者たちが発見したディアミドリン酸は、これら3つすべてを水中で、しかも幅広い温度下でリン酸化反応させられることを証明したそうだ。

クリシュナムルティ博士自身、ディアミドリン酸を魔法の杖にたとえている。原始の海にディアミドリン酸の杖をかざすだけで「ポン!ポン!ポン!」とオリゴヌクレオチド、オリゴペプチド、そして脂質の膜ができあがるのだ。

40億年前まで時をさかのぼって真実を確かめることはできないが、今後クリシュナムルティ博士は古生地球化学者とタグを組んで、40億年前の地球の地層を調べてディアミドリン酸を形成する化学物質を含んでいるかどうかを検証するそうだ。生命誕生の謎が、あと少しで解明されるかもしれない。

Scientists Find Potential “Missing Link” in Chemistry That Led to Life on Earth (The Scripps Research Institute)

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