Credit : Tucker Sno-Cat Corporation

オトナの冒険心をくすぐるスノーマシン「Sno-Cat」、米で人気上昇中

こどもの頃をちょっと思い出してほしい。ペカペカのプラスチック製のおもちゃカーに乗っていた記憶はないだろうか。エンジンもついていない、ハンドル操作もできない、足で地面を蹴って前へ進むだけのシンプルなおもちゃ。どこかヘンテコで愛嬌のある風貌だったが、それでも立派な愛車だった。それにまたがって坂道を下れば最高のスピード感を得られたし、想像力次第でどこへでも行けそうな気がしたものだ。

そんな愛おしいおもちゃの記憶が、実用性の高い作業用マシンと合体したとき、大人にも子どもの冒険心が湧いてくる――。そう、大人にはどんなマシンも手に入れて、どんなところにも行ける自由があるのだ。お金さえあればの話なのだが。

たとえば、全米で人気沸騰中のTucker Sno-Cat社が製造する雪上車。お値段はおよそ1千400万円からと、けっして安くない。絵本から飛び出してきたような派手なオレンジの車体には、無骨な巨大なキャタピラが4輪ついている。キャタピラの中心は水上飛行機のフロートのような空洞な構造となっており、どんなに軽い新雪の上も移動できるそうだ。雪をかき分けて進むのではなく、雪の上を進むという点で他の雪上車と異なり、ニッチな製品として一手に注目を浴びているそうだ。

軍用に開発されたモデルが多く、一番有名なのは1957年に初めて南極大陸を横断したエクスペディション用に造られたSno-Cat 743。今でも南極ではSno-Catが活躍しており、アメリカ軍隊が主要な取引先だそうだ。

個人の顧客層は主に別荘を持つ富裕層で、山奥のペンションまでの道のりをSno-Catの暖かいキャビン内で音楽でも聴きながら優雅な気持ちで移動できるようにと雪上のマイカーとして購入する例が多いそうだ。バリエーションは多彩で、小型の3人乗りから業務用の15人乗りまであるが、一番人気が高いのが上の画像の4人乗りの2000Xtra Lite Tucker-Terra / Sno-Catモデル。移動速度はせいぜい時速10㎞ほどだそうだが、道を選ばずどこへでも行ける自由さがある。

熱い視線を向けているのは富裕層だけではない。Tucker社が1942年に創業して以来造り続けてきた歴代モデルは、いまや製造していないものも多くある。それらはヴィンテージ品として高値で取り扱われているそうで、近年で値段が3倍に膨れ上がっている。

商品の価値はいつ問われるかわからないものだ。Sno-Catが世にデビューしてから75年経った今、地球温暖化によりゲレンデは確実に積雪量が減ってきているなかで、未踏のパウダースノーを求めてSno-Catを走らせる、そんなマニアもいるらしい。

Tucker Sno-Cat Corporation
A US$125,000 snow machine is the latest toy for rich land barons (South China Morning Post)

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