仮想世界「セカンドライフ」の中で1年過ごした結果、3年間服役することになった女性の話

『セカンドライフ』というゲームをご存知だろうか。2003年にリリースされた仮想世界の中で生活をするゲームで、開始時には多数のプレイヤーがこの世界に没入した。しかし、バーチャル・リアリティの世界に過度にのめり込み、現実との境界線が無くなってしまった結果、信じがたい事件も起きている。

2007年、キンバリー・ジェーニガンが『セカンドライフ』をはじめた理由は夫の浮気だった。結婚して数年で夫がネットでの恋愛を楽しむようになり、キンバリーも傷ついた心をゲームの世界で癒すようになる。内気な性格のため学校ではいじめられっ子だった彼女が作ったアバター“シュガー”は、抜群のスタイルにブロンドヘアーと青い瞳を持つ、まさに「理想の自分」だった。

シュガーは内気なキンバリーと違い非常に積極的で、仮想ストリップクラブで働きながら男を漁っていた。そこで、ジーンズを身に着けたライオンのアバター“レオ”と出会い、恋に落ちていく。レオを操るデラウェア在住のドナルドも家庭に問題を抱えており、2人は禁断の仮想恋愛を育んでいった。

するとキンバリーは、現実世界でドナルドとの結婚を考えるようになる。彼に「会わない?」とアプローチをし、2人は成り行きのまま体の関係を結んでしまう。しかし、これはドナルドにとっては“戯れの恋愛”であり、現実の関係は1度きりで十分だと考えていた。だがキンバリーは止まらない。その後の執拗になアプローチに耐えかねたドナルドに「消えろ」という言葉をかけられると、現実世界で彼を追いかけ始めた。

キンバリーは手錠と本物に見えるモデルガンを購入し、最初の挑戦を試みる。ドナルドの職場の駐車場で待ち伏せをして「話をしたいだけよ」と銃口を向け自分の車に乗せようとしたのだ。ドナルドは逃走して「2度と来ないでくれ」とメールを送り、キンバリーを受信拒否にしたが、彼女の暴走は止まらなかった。

ついにキンバリーは、デラウェアにあるドナルドの家に侵入。窓の網戸を裂いて室内に入ると、帰宅したドナルドにテーザー銃を突きつけたのだ。しかしこれも未遂に終わると、キンバリーはやっと我に返り、泣きながら「誘拐未遂を犯した」と警官に自首をした。

2008年8月21日、キンバリーはたった1年間ゲームをプレイしただけだったが、「誘拐未遂」「不法侵入」の罪によって刑務所に3年間服役をするという“現実”を手にすることになった。2011年に出所し、現在は家族と暮らすキンバリーは『セカンドライフ』について「もう2度とやりません」と決別を宣言している。

一見他人事のようにも思える事件だが、日ごろ手にしているスマートフォンの中にも仮想世界は広がっている。多くの人が「自分は大丈夫」と思っているかもしれないが、SNSなどで会話している相手が現実に存在する人間だという保証はどこにもない。

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