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ワシントン州の脱線事故から見る、PTCシステムの重要性

2017年12月18日、「Amtrak」として知られる全米鉄道旅客公社の旅客電車が米ワシントン州で脱線する事故が起きた。12車両で運行していた電車は、高架下の高速道路にその一部が落下し、道路を走行していた車も巻き添えにして3名死亡、多数の負傷者を出した。

事故の原因は今も調査中だが、事故が起きたとき電車は30mph(時速約48km)の速度で走るべき箇所を80mph(時速約128km)で運行していた。この事故は「PTC」(Positive Train Control)という安全システムが機能していれば防げたとされる。「PTC」は車両と線路に機器が取り付けられ、GPSによって車両の位置を認識し、速度が出し過ぎである場合自動でブレーキをかけてくれるものだ。ほかにも、このシステムがあれば電車の正面衝突を事前に防ぐことのできるなど導入の利点は多い。実は、事故が起こった電車にもPTCシステムは搭載されていた。PTCは搭載はされていたもののシステム導入のさなかであり、まだ動作していなかったのだ。今回事故が起きた区間では、来春PTCの準備が完了する予定だった。

元々、アメリカ合衆国議会はPTCの実装を2015年末までに行わないといけないと定めていたのだが、後に議会はPTC実装のデッドラインを2018年末までと延期していたのだ。2015年には今回の事故と同様に、Amtrakの電車がカーブで速度を出しすぎて脱線する事故がフィラデルフィアで起き、8人が死亡している。運転手は事故当時、無線通信に気を取られてこれに対処できなかったとされる。

当然ながら、全米の全ての鉄道にPTCを導入するのはそうたやすいことではない。BBCの報道では、車両と路線全てにPTCを導入するには220億ドル以上の費用がかかるという。アメリカ連邦鉄道局によれば今年第2四半期の段階で全米の旅客車両の41%、貨物車両の59%にはPTCが搭載されている。それでも路線の方は旅客路線の20%、貨物路線の47%までしか準備が整っていない(なぜここまで差があるのか理由は不明だが、旅客線よりも貨物線の方が先に準備が進んでいるという状況は興味深い)。

Derailed US train lacked automatic safety system(BBC)

Positive Train Control(Federal Railroad Administration)

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