Credit : Hasbro

認知症ケアに有効な猫型ロボットを米大学と玩具メーカーが共同開発

社会のニーズに沿ってテクノロジーを開発していく。これがアメリカのブラウン大学内に設置されているHumanity-Centered Robotics Initiative(人間中心のロボティクス・イニシアティブ)研究グループの行動理念だ。そして、このたび発表された新しいプロジェクト「ARIES」には、まさにこの理念が活かされているという。

ARIESとはAffordable Robotic Intelligence for Elderly Supportの略で、人工知能(AI)を搭載した高齢者向けのスマートコンパニオンロボット開発を進めている。AIを宿す本体となる動物型ロボットを提供するのは、『マイリトルポニー』や『トランスフォーマー』などのおもちゃで有名な大手玩具メーカーのHasbroだ。HasbroもHCRI同様、本拠地をアメリカ東海岸のロードアイランド州に構えていることも今回のコラボレーションの決め手となった。

Hasbroは2015年11月に猫型、そして2016年10月には犬型の『Joy for All』コンパニオンロボットの販売を開始し、すでにアニマトロニクスの技術を確立している。日本でも『夢ねこプレミアム』として売られているのでご存知の方もいるかもしれない。愛らしい『夢ねこ』にはいくつものセンサーが搭載されており、あたまやほっぺ、背中をなでてやるとゴロゴロと気持ちよさそうに喉を鳴らしたり、眠ってしまったりもする。

『Joy for All』シリーズのコンパニオンロボットはこれまで主に子供向けに開発されてきた。しかし消費者の声に耳を傾けてみると、意外に高齢者向けに購入しているケースが多かったそうだ。『Joy for All』の顧客層を広げて新たに高齢者向けの市場を開拓する点では、HCRIのコンピューター科学者、認知行動学者、社会学者や医師から成る幅広い専門性は願ってもないコラボレーションだった。HCRIの主任調査員、Bertram Malle氏は、「私たちのどちらもお互いなくしては成し遂げられないが、協力し合って本当に必要とされている有益なプロダクトの開発につなげる」と抱負を語っている。

HCRIとHasbroは今後3年かけてじっくりとユーザー研究を重ねていくそうだ。特に軽度の認知症を患っている高齢者のために、家の鍵やメガネなど大事な物を探したり、薬の飲み忘れを防止したり、日常生活において困難が伴うタスクの手伝いなどをARIESに組み込んでいく方向だという。ユーザー研究を通じて新たなニーズが明らかにされるかもしれないので、最終的にどのような機能を持ったスマートロボットになるかは3年後のお楽しみだ。

ARIESの「A」は手頃な価格という意味が込められているという。従来のスマートロボットがおよそ5000ドル(56万円相当)と高価なのに対し、『Joy for All』の現行品は100ドルほどで手に入る。コストを下げることで、なるべく多くの人の側に置いてもらいたいというのが開発者たちの願いだそうだ。

高齢者の多くが経験する社会からの孤立、そして寂寥感。このような問題を解決するために、愛らしい動物の姿をしたスマートロボットはどこまで「賢く」なれるのだろうか。

Brown / Hasbro team to design smart robotic companions to assist seniors (Brown University)

Hasbro, Brown University team up to develop A.I. pets for seniors (WPRI)

Hasbro’s Joy for All Companion Pets (Hasbro)

夢ねこプレミアム(セガトイズ)

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