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トランプ大統領による米国定記念物の範囲大幅縮小、古生物学にも影響か

アメリカ合衆国のドナルド・トランプ大統領が、これまで国定記念物とされてきたユタ州のグランド・ステアーケースとベアーズ・イアーズの保護地域を大幅に縮小すると今月初め発表した。

CNNの報道によれば縮小幅はグランド・ステアーケースで約45%、ベアーズ・イアーズではなんと80%以上。これには自然保護団体はもとより、ネイティブアメリカン団体や、アメリカのアウトドア用品メーカーPatagoniaなども反対しており、裁判を起こす構えだ。しかし今回の保護地域大幅縮小が影響を与える幅は広く、古生物の分野もこれにより影響を受ける。世界中の大学や研究所の研究者らからなる古脊椎動物学会「Society of Vertebrate Paleontology」(SVP)も裁判を起こす意向だ。

スミソニアン学術協会が運営する情報サイトSmithsonian.comは、この状況に対し警鐘を鳴らす記事を投稿した。

Smithsonian.comによると、国定記念物の仕組みはただ単に自然や文化遺産を守るというだけではなく、勝手に化石を発掘されたりすることを防ぐと共に、科学的な活動を優先する役にも立ってきたという。しかし保護地域が解除されれば、その地域はガスや石油などの自然資源の採掘場所となり得る。そうなってしまえば、それがどれだけ重要な歴史が眠る場所であってもフェンスで覆われ学者達が立ち入るのは非常に難しくなってしまうのだそうだ。

国定記念物に指定された場所は、そこで研究する人々にとっては研究支援を受けやすいという利点がある。国定記念物指定以外にも、古生物学的な資源を守る仕組みとして「Paleontological Resources Preservation Act」(古生物学資源保護法)が存在している。これは一般の人が自由に少量の植物や無脊椎動物の化石を集めることは許されており、科学的研究には許可が必要で、認定された公共の博物館に納めなければならない。だが文字の上では古生物学資源を保護してくれそうだが、どうやらそうでもないようだ。

ウエスタン・コロラド博物館と共同で研究を行う古脊椎動物学者Robert Gayによれば、ベアーズ・イアーズ国定記念物の範囲外にはこの保護法で指定されていた箇所があり、そこにはジュラ紀の恐竜などが豊富に見つかる発掘場所としてロサンゼルス自然史博物館が10年かけて発掘調査していた。しかし、結局その場所は、石油会社にリースされてしまったという。「今では石油会社が南ユタで最も重要なジュラ紀の発掘現場をドリルで掘り抜くことができる」とGayは話している。つまりこの保護法の力は弱いのだ。一方で、国定記念物の範囲に入っている地域ではこのような古生物学上の悲劇は起こらないとされる。

グランド・ステアーケースだけ見ても、国定記念物の範囲が縮小することで古生物学の発掘現場が最低でも400が指定範囲外となってしまうと、インディアナ大学ブルーミントンの古脊椎動物学者でSVP会長のDavid PollyはSmithsonianに語っている。

何十億年もの時間を超えてそこに存在し、一度失えばもう二度と見いだされることのないかもしれない生物の痕跡、それらが化石燃料の掘削のために失われる可能性があるとすれば、それは我々地球上の生命が歩んできた歴史の一部が失われるような気にもなる。トランプ大統領は「連邦政府の行き過ぎを元に戻し、市民に土地の権利を取り戻す」ために今回の保護地域縮小を決定したと述べているが、果たしてその影響は市民にどう受け入れられるだろうか。

What Shrinking Fossil-Rich National Monuments Means for Science(Smithsonian)

Native American tribes, conservation groups sue Trump over monument changes(CNN)

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